天気と気象公式まとめ

天気と気象を知るための公式/数式まとめ

「天気と気象を知るためのキーワード/用語集(その1/その2)」では、気象に関する様々な用語と押さえておくべきキーワードについて、ざっくりな内容のみですが記事にしてみました。

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天気キーワード2

今回は天気と気象を知るための様々な公式についてを1つの記事にしています。

様々な気象現象にはそれを表すための数式が存在しており、言葉で記載するよりもこのような数式で表現したほうが理解が早い場合も多くあります。

普段はこれら数式を使うことはほとんどないですし、サーフィンする上で知っておくべき内容ではないのですが、せっかくなのでこんな公式をみて天気や気象に少しでも興味を持ってくれる方がいてくれれば、、、。

また、気象予報士試験の勉強をされている方には、参考になる情報かと思います。

目次

天気と気象を知るための公式/数式

気体の状態方程式

P=ρRT

P:気圧、ρ:密度、R:気体定数、T:温度
①気温高いと空気密度低くて軽くなる。気温低いと密度大きくて重くなる
②温度と層厚が比例する
③温度が一定なら、気圧と密度は比例する

シャルルの法則

気圧が一定なら密度と気温が反比例
P =一定として考える
簡単に言うと気温高いと空気が軽い気温低いと空気重い

ボイルの法則

温度が一定なら密度と気温は比例する
T=一定と考える

気体定数

287 J/K kg

分圧の法則

気圧1000hpaの組成比が窒素80%、酸素20%とすると窒素が800hpa、酸素が200hpa

モル

分子量Mの気体がmgあるときのモル数nは n=m/M(モル)
1モルの中に含まれる分子の数をアボガドロ数という(6.02×10^23個)

気圧傾度

-ΔP/ΔZ (鉛直方向)
-ΔP/Δn(水平方向)

気圧傾度力

-1/ρ×ΔP/ΔZ (鉛直方向)
-1/ρ×ΔP/Δn(水平方向)”

静水圧平衡

ΔP=-ρgΔZ
気圧傾度力=重力加速度 の関係

もともとは、g= -1/ρ×ΔP/ΔZ の式を変形しただけ
このままではある地点の気圧や気温から求められないので、ΔP=-ρgΔZ に気体の状態方程式(P=ρRT)を代入
すると ΔP=-Pg/RT×ΔZ となる
ΔP(気圧差)が一定とすると温度と層高は比例する(平均気温が高い層の方が層が厚い)

<ポイント>
①高度があがると気圧が下がる(ΔZが大きくなればそれだけΔPもマイナスになる)
②気温と層高は比例する (ΔPが一定とするとTとΔZが比例関係になる)
③⊿Pが一定とすると、密度と高度は反比例

測高公式

ΔZ=RT/g × log(P1/P2)
log(P1/P2)=logP1-P2
AUPQなどの天気図で高度を求めるときに使用している式

海面更正

測高公式を使って海面での気圧を計算する

熱力学の第一法則

⊿Q=⊿W+⊿U ⊿Q(与えられたエネルギー)
⊿W(仕事量)
⊿U(内部エネルギーの変化)

⊿Q=0 とすると断熱変化として考えられる
断熱冷却の場合、膨張するときに仕事量は大きくなるが、内部エネルギーは減少し、内部のエネルギーを使うから温度がさがる。仕事が増えれば外から熱をもらってないので自分の中のエネルギーを使うことになる。

⊿Q<>0のときは、非断熱変化となる

⊿Qが増えれば、⊿Wも増

温位 θ

ある高さの空気塊を1000hpaに乾燥断熱変化させたときの温度 θ=T(P0/P)~R/Cp
P0:1000hpa、R:気体定数、R/Cp=0.287

温位はΓdでは上昇しても下降しても変わらず、しかしΓmのときは凝結すると温位は潜熱放出分だけ上昇する

相当温位 θe

相当温位=温位+空気塊中の水蒸気が仮に全て凝結したときに放出される潜熱
θe=θ+2.8×q(混合比) であらわされる

Γmでは相当温位は保存される
地上293K+20K=313K、1000mでは 298K+15K=313K で保存される
(凝結するので温位は上昇するが、そのなくなった分の潜熱があるので凝結分が減って結局は同じ値になる)

混合比

w=0.6×e/p もしくは w=0.622-e/p-e
e:飽和水蒸気圧、p:湿潤空気の圧力

混合比1g/kgあたり2.8Kの潜熱が放出されることになる(θe=θ+2.8×q

潜在不安定

CAPEとCINが存在する場合。

特にCAPEの方が大きい場合を潜在不安定という
持ち上げ凝結高度、自由対流高度、平衡高度

対流不安定

上層は乾燥、下層は湿潤、下層ほど相当温位が大きくなっている状態

飽和していないときは安定な状態だった層全体が、飽和するまで上昇したときに大気中に内在していた不安定が顕著化して不安定になる

SSI

[500hpaの気温]-[850hpaの空気塊を断熱的に500hpaまで持ち上げたときの気温]

SSI<3℃【注意:やや不安定】
SSI<0℃【非常に注意:不安定】
SSI<-3℃【警戒:かなりの不安定】、

逆転層

接地性逆転層、沈降性逆転層、前線性逆転層

降水過程【暖かい雨】

①凝結過程(拡散過程) ⇒ ②併合過程
表面張力:表面積が小さいほど大きく働く

降水過程【冷たい雨】

①昇華凝結過程⇒②ライミング⇒③凝集過程
海塩粒子が、吸湿性、溶解性に優れている。
エアロゾルは海上は密度少ないが大きい、地上は密度大きいが小さい

終端速度

6πηrV=mg

空気の粘性による抵抗力=重力
【水滴がある程度まで大きくなると加速度がなくなり速度が一定になるときの速度Vが終端速度である】
η:空気の粘性 、r:水滴の半径、V:終端速度

質量:m は 質量=密度* 体積 であらわされるため、密度を ρW、体積を 4/3×πr^3 として代入すると
V=2ρwr2g/9η となる。

よって半径が大きくなると終端速度Vも大きくなり、終端速度は水滴の半径の2乗に比例する

移流霧、蒸気霧、前線霧、上昇霧、混合霧

黒体

電磁波を全て吸収して全て放射するという仮想的な物体

キルヒホッフの法則

よく放射する物体は入射してきた放射をよく吸収する

ステファンボルツマンの法則

I = σT^4

I:放射強度
σ:ステファンボルツマン定数
T:絶対温度

物体の温度が高いほど放射強度が高い
放射強度がわかればその物体の絶対温度が判明する。
地球=250K、太陽=6000Kで温度が24倍 ⇒太陽の放射強度は地球の24の4乗倍になる

ウィーンの変位則

λmax × T = 2897

物体の温度が高いほど波長が短くなる。λとTは反比例する。

  • 太陽は温度高い⇒波長が短い紫外線、可視光線を放射できる。
  • 地球は温度が低いので赤外線しか放射できない

放射強度と距離

距離が2乗になれば放射強度は1/4になる

太陽定数

S0=1.37×10^3  [Wm^-2]

南中時の太陽高度

太陽高度=90度-緯度-赤緯

放射平衡の関係

入射量(100)=反射量(30)+吸収量(20)+透過量(50)
アルベドは反射量の30%のことをいい、普通は0.3で表す

太陽の放射エネルギー

S0(1-A)πr^2
S0:太陽定数、A:アルベド、r:地球の半径 太陽放射は地球の断面積で入射してくる

地球の放射エネルギー

4πr^2×Ie
地球の表面積×放射強度

放射平衡温度とは

S0(1-A)πr^2 = 4πr^2×Ie
太陽の放射エネルギー=地球の放射エネルギー
ただしこの場合は地球の温室効果を考慮していないので計算すると255kくらいになりかなり低い温度であわられる

散乱

レイリー散乱、ミー散乱、幾何学的散乱
電磁波の波長とそのあたる粒子の半径の大きさによって3つの散乱がある

レイリー散乱

太陽放射の波長が粒子の半径よりもずっと大きい場合
波長>>粒子の半径 のとき レイリー散乱の散乱強度は、波長の4乗に比例する
空が青く見える

ミー散乱

波長=粒子の半径 のとき
散乱強度は電磁波の波長には依存しない
雲が白く見える

幾何学的散乱

波長<粒子の半径 のとき

ニュートンの第1法則

慣性の法則

ニュートンの第2法則

F=ma

「F」はForceの頭文字で「力」
「m」はmassの頭文字で「質量」
「a」はaccelerationの頭文字で「加速度」

質量mの物体に力Fを加えた場合、加速度aが生じる

ニュートンの第3法則

作用・反作用の法則

コリオリ力

fV
f=2ΩsinΦ(コリオリパラメータ)
v:風速
Ω:地球の自転角速度(2πr/日=7.3×10^-5/秒)
Φ:緯度

角運動量保存則

R1V1=R2V2=一定
R:回転半径、V:回転速度
回転半径が大きくなると回転速度は小さくなる、半径小さくなると速度は速くなる

地衡風の平衡(等高度)

fV=-1/ρ・⊿P/⊿n
これは等高度のときに使用
コリオリ力=気圧傾度力

地衡風の平衡(等圧面)

fV=-1/ρ・⊿P/⊿n に静水圧平衡の式 ΔP=-ρgΔZ 代入  V=g/f・⊿Z/⊿n
等圧面の時に使用

傾度風

高気圧性:コリオリ力=気圧傾度力+遠心力
低気圧性:コリオリ力+遠心力=気圧傾度力

遠心力: V^(2/r)
V:風速
r:曲率半径
遠心力は必ず外に向かう

地表面の風

地表面ではこれに摩擦力が影響してくる

渦度

正渦:反時計回り(低気圧性)
負渦:時計回り(高気圧性)

温度風の関係

高度とともに偏西風が強く吹くこと。低温側を左手に見て吹く
順転(時計回りに850⇒700):暖気移流
逆転(反時計回りに850⇒700):寒気移流

傾圧大気

等温線と等高度線が交差する
温帯低気圧など

順圧大気

等温線と等高度線が平行になる
台風など

発散・収束の式

U2-U1/⊿x + V2-V1/⊿y
答えが+なら発散、- なら収束 方向を間違えないように

渦度の式

V2-V1/⊿y- U2-U1/⊿x
答えが+なら正渦度、- なら負渦度 方向を間違えないように

絶対渦度保存則

絶対渦度=相対渦度+惑星渦度=一定

渦度0線

正渦度域(縦じま)と負渦度域(白抜きの境界線500hpa) は強風軸に対応している

気圧の移動

(-)10hpa/時間 = 3cm/秒
時速10hpa=秒速3cm

ノットの変換

0.5m/s = 1ノット = 2km/h(1.85km/h)

前線の定義

性質の異なる空気が接するところに出来る、前線帯の暖気側の前線面とある高度面との交線

圏界面の高さ

赤道付近:16km
高緯度:8km
平均:11km

大気の大循環1

下から ハドレー、フェレル、極循環

大気の大循環2

下から 熱帯収束帯、亜熱帯高圧帯、寒帯前線

大気の大循環3

下から 北東貿易風、偏西風、極偏東風

水平方向の温度移流の計算式

温度変化を記述する方程式: -U・⊿T/⊿x
U:風速、⊿T:温度差、⊿x:2点間の距離(m)
答えは1秒間に何度変化するか ℃/s

地上付近の風

摩擦力により風が曲げられる。
海上では20度、陸上では30度、気圧傾度力側に曲げられていく
摩擦が強くなると、風速も弱くなっていく⇒コリオリ力も弱くなる

Z-R関係式

Z=BR^β
レーダー反射因子[Z]から降雨強度[R]を計算、現在はB=200、β=1.6の地雨として計算される

渦度

単位は [×10^-6/s]   回転の度合いを示す。
渦を巻いてなくても、水平シアがあるときは渦度は生じる。
[絶対渦度]=[相対渦度]+[惑星渦度]

鉛直p速度

単位は [hPa/H]
1時間あたりの気圧変化量。700hPaでは10hPa/H あたり秒速3cmに対応する。
下降流が正(+)、上昇流が負(-)

ω方程式

上昇流 500の正渦度移流域、850の暖気移流域、非断熱過程による過熱(潜熱の放出など)
下降流 500の負渦度移流域、850の寒気移流域、非断熱過程による冷却

スレットスコア

発現率は小さいが、予測するのが重要な場合。例)冬の大阪の雪が降る確率。
あり/なし表で、出現が1番多い所を除いた残り3つが分母で、分子は予報も実績もありーありの数。
ありのスレットスコア、なしの場合のスレットスコアがある

スキルスコア

ガイダンス結果が適当にやった予測よりも精度が悪ければ問題ないかどうか検証する。
[ガイダンスで当てたあり&なし]-[ランダムで当てたあり&なし][全体数] – [ランダムで当てたあり&なし]

RMSE(2乗平均平方根誤差)

(1回目の予想値-実況値)の2乗+(2回目の予想値-実況値)の2乗+・・・・・(最終日の予想値-実況値)の2乗 / 予報日数  の平方根
2乗してプラスして平方根とるので誤差は相殺されることはない。
RMSEで0ならば完全に誤差なく当たっているということ

ME(平均誤差orバイアス)

(1回目の予想値-実況値)+(2回目の予想値-実況値)+・・・・・(最終日の予想値-実況値) / 予報日数
MEが0だからといって誤差がない訳ではない。
相殺されてしまっている可能性がある

ブライアスコア(BS)

(1回目の予想-実況)の2乗+(2回目の予想-実況)の2乗+・・・・・(最終日の予想-実況)の2乗 / 予報日数
確率は%表示を元に戻す(50%⇒0.5)。
実況の値は0か1のどちらかになる

コスト・ロス モデル

C/L>P ⇒ 無体策 Pは大雨などが降る確率
C/L<P ⇒ 体策実施 Pは大雨などが降る確率

参考文献

気象の勉強をする上で、私はこの3冊が特に参考になりました。
おススメの本として紹介させていただきます。

一般気象学 著:小倉 義光 言わずと知れた気象予報士のバイブル的な本です

イラスト図解 よくわかる気象学 第2版 著:中島俊夫 イラストの解説がとてもわかりやすいおススメです

イラスト図解 よくわかる気象学 予報技術編 著:中島俊夫 予報技術に関する内容がわかりやすく解説されています

 


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