台風2号(スリゲ)

令和3年台風2号(スリゲ) 北緯15度からの南うねりと冬の嵐に変貌した台風の記録

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【Kindle】サーファーが知っておきたい台風の知識


2021年(令和3年)の台風第2号
個人的には非常に興味深い台風となりました

この台風が特徴的だったのは
私の観点では以下の点です

はるべえ
  • 北緯15度から
    南うねりが湘南に反応
  • ミドルサイズの台風
    のうねりが続いた
  • 北緯22度付近で
    台風から温帯低気圧に
  • 冬の嵐に変貌し
    北東うねりを届ける

久しぶりの台風発生ということもあり
毎日の台風動向と波のコンディション
の変化が、非常に興味深い内容と
なりましたので、
記録として残しておきたいと思います

では、まずは台風2号の動きの
全体像から見ていきましょう

台風2号(スリゲ)の動き

台風経路図

台風経路図

こちらは気象庁HPにある台風経路図から引用したものです
http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/route_map/bstv2021.html

北緯7度くらいのカロリン諸島付近
発生した台風2号は

11日後に北緯22度付近で
温帯低気圧となるまでの経路が
記載されています

この記事を記載している時点では
まだ速報値に基づく経路図ということで
後で若干の更新はありそうですけど
大きな違いはなさそうです

ちなみにこのリンク先の気象庁HPには
1951年以降の台風の経路図が全て保存
されています

台風から温帯低気圧への動き

台風2号データ1

こちらも気象庁HPにある台風位置表から引用したものです
http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/typhoon/T2102.pdf

このデータを基にざっくりと
台風2号の動きを記載していきますと、、、

4月14日に発生した台風2号は
4日後の18日には中心気圧895hPaの
猛烈な台風にまで発達

その後もフィリピンの東海上の
北緯15度付近をウロウロゆっくりと
した動きが続き、

20日にはまだ北緯20度以南に
ありながらも、太平洋側には
南うねりの反応がはじまりました

台風2号データ2

その後北緯20度に近づくにつれ
勢力を弱めてきて、

北緯22度付近で温帯低気圧に変わり
太平洋側に反応していた南うねりも弱まってきます

温帯低気圧として再び猛発達

台風2号から変わった温帯低気圧は
日本の東海上で再び猛発達してきます。

台風のように経路図がないので
4月26日からの気圧配置の推移を投稿した
Twitter投稿を埋め込みました

4月26日午前3時には
温帯低気圧となった
ばかりで中心気圧は
990hPaでしたが、

その後北東方向へと進むにつれて
再び急速に発達

4月27日の午前3時には
950hPaとして解析されており
24時間で40hPaも中心気圧が
深まった
ことになります

ピークは4月27日の午前9時で
944hPaにまで発達し

その後は勢力を維持しながらも
アリューシャン方面へと進んでいきます

台風2号の特徴的な点を考察

ここまで台風2号とその後の
温帯低気圧の動きをざっと
見てきましたが、

冒頭で記載した私の観点からの
4つの特徴について記載していきます

北緯15度から南うねりが湘南に反応

今回の台風2号の一番の特徴としては
北緯15度付近から南うねりが
湘南に届いたということかと思います

北緯15度からの南うねり

台風2号(スリゲ) 北緯15度からの南うねりが反応しはじめる【2021.4.20】
https://asasfsas24.com/20210420/wave-18884/

 

4月19日には台風からの南うねりの
反応の目安となる和歌山の磯ノ浦でも
少しサイズアップをはじめましたが

湘南には翌日20日から
台風2号からの南うねりの
反応がはじまりました

この日の記事にも記載していますが
石廊崎の波浪観測データでは
波高は1mでほぼ変わらずな状態ながら

周期が19日23時~24時にかけて
612に大きく変化すており
その後も10秒以上の周期の波が続きました

私もこの日の朝に千葉南で
海に入りましたけど、

気のせいかもしれませんが
セットの波が力強くて
いつもより”押してくれる波”を
感じました。

テイクオフがとても気持ち良い
ドロップだったのを覚えています

 

4月20日午前0時に台風2号は
北緯15度、東経126度付近にあったとすると
江ノ島までの距離は約2,500㎞

ただ20日に届いたうねりは
2,500㎞以上も南にある台風から
だいたい3日くらいかけて江ノ島まで
届く
とすると、

17日の台風の位置(北緯10度、東経132度)
と勢力(最大風速:45m/s、中心気圧:950hPa)
からのうねりが入ってきたと想定します

2019年10月に東日本の広範囲に
大きな爪痕を残した台風19号(ハギビス)の時には

2019年10月7日の時点で北緯15度付近で
中心付近の最大風速が54m/sを越えて
猛烈な台風」となり、

その3日後の10月10日の朝から湘南には
頭サイズのうねり
が入ってきていました。
※10日の時点では既に北緯20度線を越えていました

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これらのことから

はるべえ
北緯20度より南に台風がある場合でも、
台風カテゴリが「猛烈な台風」となった
3日後には湘南にうねりが届くことがある

ということが、言えるかと思います

もちろん自然のことですから
これは全てのケースに当てはまるという
訳ではなく、

台風と日本の間に前線が停滞していたり
別の台風があったりして、
うねりが抑制される要因があった場合は
この限りではありません。

ただはるか南海上に台風がある場合も
その台風の発達度合い・台風カテゴリ
をよくチェックしておいて、

上記のような経験則をあてはめてみると、
3日前からグランドスウェルに
乗るための計画・予定がたてられる
のでは
ないかと思います

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ミドルサイズの台風のうねりが続いた

台風2号程よい南うねり

台風2号(スリゲ)からの程よい南うねり~ミドルサイズで今日も楽しめそう【2021.4.21】
https://asasfsas24.com/20210421/wave-18906/

 

台風は北緯20度付近をウロウロしていて
日本からは遠い位置にあったこともあり

今回の台風2号からのうねりは
本来の台風からのグランドスウェルが
入ってきたという訳ではなく

この温帯低気圧になるまでの間は
程よいミドルサイズの台風からの
うねりが続きました

湘南には小ぶりになりながらも
南よりのうねりが続き、
また内房にもサーフィンできるサイズ
でうねりが入っていたことから

弱いながらも南からの台風の
うねりは続いていたものと思われます。

石廊崎の波浪観測データを見ても
波高はずっと1m程度を推移しており
周期も10秒以上の波が続いた状態

急激に波高が大きくなる訳でもなく
安定的に推移しており

湘南や千葉南エリアに
ミドルサイズの波が入りやすい状態が
続いていました

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毎朝楽しみな1週間

北緯22度付近で台風から温帯低気圧に

台風2号は4月26日には温帯低気圧となりました

台風2号は再び猛発達

台風2号は温帯低気圧となり再び発達~形を変えて今週も楽しませてくれそう!【2021.4.26】
https://asasfsas24.com/20210426/wave-18992/

ちょうど北緯20度を越えてきたところで
通常の台風のケースだと
いよいよこれからうねりが入ってくる
というタイミングなのですが、

今回は北上するにつれて
まだ海水が台風の勢力を維持できる
程の海水温になってないエリアに
入ってきたこと

および日本海にある高気圧からの
吹き出しの北東の風が強まり
南うねりを打ち消す強い風と波が
入ったことで、温帯低気圧化が
進んだものと思われます

こちらは4月23日のざっくり風イメージ

高気圧210423

翌日4月24日も同じような状況が
続きました

高気圧210424

2日後の4月26日には台風2号は
温帯低気圧へ

北東の風が吹き込む状態が
続きました

高気圧210426

冬の嵐に変貌し北東うねりを届ける

夏の嵐から冬の嵐へ

元台風2号は夏の嵐から冬の嵐へ〜中心気圧950hPaで猛発達中【2021.4.27】
https://asasfsas24.com/20210427/wave-19011/

 

先ほども掲載したTwitter投稿を
もう一度掲載します

中心気圧は990hPaから24時間後には
950hPaまで気圧が深まり、
24時間で実に40hPaも中心気圧が低下した
ということになります

1週間前までは夏の嵐として存在していた
訳ですけど、

その後は冬場によく出現する
アリューシャン低気圧のごとく
再び猛発達してきたことで
冬の嵐に変貌し

千葉・茨城エリアには
この低気圧からの北東うねりが
反応してきました。

高気圧210429

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まとめ

令和3年台風2号:スリゲからの南うねり
~温帯低気圧に変わってからの北東うねり
まで

台風の経路と発達の状況、
および主に湘南・千葉エリアへの
台風のうねりの反応について

情報をまとめて私なりの
考察も交えながら記事にしてきました

台風は1つとして同じものはなく
発生する場所も違えば辿る経路も
異なりますし、

また周辺の海水温や風向きと強さ
などにより発達の度合いも異なってきます

自然の現象ゆえに
ここで記載したことは毎回あてはまる
ということではありませんが、

このようなケースも過去には
あったという経験則的な扱いで
参考にしていただき、

サーフィンの醍醐味の1つでもある
台風からのうねりについての理解と
自然への興味・関心を深めて
いただければ嬉しいです。

こちらのKindle電子書籍には
サーファーが知っておきたい
台風に関しての一通りの内容を
まとめてありますので、

合わせてご覧いただければ
と思います

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