台風8号”ニパルタック” 東京五輪にダブルオーバーの波をもたらしたサーフィン史に残る台風

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【Kindle】サーファーが知っておきたい台風の知識

サーフィンがオリンピックの正式種目に選ばれて
初の開催となったのが、
2021年に開催された東京オリンピックです

サーフィンがオリンピックにデビューしたのが
東京オリンピックであることに加え

その歴史的な大会会場となったのが
千葉の志田下ポイントとなったことは
多くのサーファーの方にとって
なんとも感慨深い思いをしたのでは
ないでしょうか

日本でのオリンピック・サーフィン競技の
開催ということで
オリンピック開催の前から
波のことが気になっていた方も
多かったかと思います

世界のトップサーファーが
オリンピックという特別な舞台に
はじめて集まる訳ですから

普段の千葉エリアでもよくある
膝腿~腰くらいのサイズ感で
北東の風でまとまりのない波での
開催となってしまったら…

っと考えた方も多いのでは
ないかと思います

そんな心配を吹き飛ばすかのように
令和3年台風8号(ニパルタック)は
サーフィン競技の日程に合わせるかのように
会場となる千葉へ向かって接近してきました

このブログでは特徴的な台風や
印象的な台風などについて個別に記事に
とりあげてきていますが

今回は東京オリンピックのサーフィン会場となる
志田下ポイントにダブルオーバーの波を
もたらした記憶に残る台風8号について
記載していきたいと思います

書いていくうちに途中から
オリンピックのヒートに関する内容が
多くなってしまった感がありますが・・・

まずは台風8号(ニパルタック)の
動きや特徴などから見ていきましょう

台風の記録と基礎知識については
こちらのカテゴリにて各記事を記載していってます

他台風の記事なども合わせてご覧ください
https://asasfsas24.com/category/surfmeteorology/typhoon/

台風8号(ニパルタック)の動き

台風8号の発生

台風8号候補

台風8号が発生したのは2021年7月23日の午後9時

南鳥島近海にあった熱帯低気圧が台風8号(ニパルタック)に変わりました。

7月23日の午後9時というと、

ちょうど東京オリンピックの開会式が行われていた時間帯
各国の選手が次々と入場しはじめた頃でしょうか
選手入場の順番がABC順ではなく、あいうえお順での入場だった
のは新鮮でしたね

台風8号はその発生の順番毎につけられる名前で
ニパルタック」として命名されました

これは日本含む14カ国等が加盟し構成される
「台風委員会」によって140個の台風の名前のリストが
作られており、

2000年の台風1号(ダムレイ)から順番に名前が
つけられていってます

台風の番号とアジア名の付け方についてはこちら
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-5.html

「ニパルタック」の命名国はミクロネシアで、
コスラエ島の有名な戦士の名前に由来するとのこと。

台風8号は発生した23日午後9時の時点では
中心気圧998ヘクトパスカル、最大風速は18メートル、
最大瞬間風速は25メートルとして解析されてます

台風経路図

台風経路図

台風8号は発生後しばらくは東経150度線を北上し
北緯30度を越えたあたりから北西方向へと
進路を変えてきました

こちらは25日午前3時の時点の台風情報です
風速15m/s以上の強風域の半径が500㎞を越えたことから
「大型」の台風になりましたが
最大風速は秒速20mとそれほど発達はしていないままでした

台風8号_210725

観測史上初の宮城県に上陸した台風

そしてこのあと台風8号は北西方向へと進路を変えてきます。

通常の台風のコースでは
日本付近に到達してきた台風は上空の偏西風の
流れにものり、北東方向へと向かうのですが

今回は北西~西の方向へと進み
千葉の東海上のあたりまできたところで
今度は北へと進路を変え、

28日午前6時には宮城県石巻市に上陸することに
なりました。

台風8号と太平洋高気圧

上記の天気図は7月25日午後9時の予想気圧配置に
一部加工をしたものですが、

台風8号が東海上で北西方向へと進んだのは
今年の夏の特徴とも言える
太平洋高気圧が例年よりも中心が北に位置していた
ということが要因としては大きいのではないかと思います

台風は太平洋高気圧の縁辺を回って移動する
ことが多く、太平洋高気圧の勢力としては
500hPa等圧面天気図における5,880mの等高度線が対応します

この時期の500hPa等圧面天気図がなくて掲載できないのですが
上記の25日の天気図を見てもわかるとおり

赤のラフな手書きで示したラインが
太平洋高気圧のざっくりとした勢力として考えると

台風8号の行く手を太平洋高気圧が阻んでおり
台風は高気圧の縁辺を北西方向へと移動せざるを
得ない状況に・・・

宮城県に台風が上陸したのは
統計開始以来はじめて
のこととのことで、

自分の記憶しているなかでも
東海上から西へ進んで東北に上陸したことがあるのが
2016年の台風10号(岩手県大船渡市に上陸)くらいしか
ないかと思います。

宮城県に上陸したあとは
岩手県まで北上した後に進路を西へ変えて
秋田県から日本海へ抜けたところで
低気圧へと変わりました

台風8号の特徴

台風8号_210728

台風8号の大きな特徴と言えば
先ほど記載したとおりの進路を辿り
宮城県に上陸した初の台風ということが
挙げられます

またこれ以外にもこの台風8号は
いろいろと興味深い台風となりましたので
その他の特徴としても記載しておきます

衛星画像では台風の雲域が不明瞭?

衛星画像_210724

台風8号_210724

こちら7月24日の赤外画像と同じくらいの時刻の
台風8号の予想進路図です

東シナ海にある雲の渦は台風6号の雲域で
日本のはるか南海上にある大きな雲域の中では
これといって台風らしき雲がよくわからないですよね

大きな雲域の中でも輝度が高い(白が強い)雲域
がおそらく台風8号に対応するのではないかと思いますが
渦を巻くようでもなく衛星画像としては
不明瞭な台風のまま北上してきました

上空に寒気を伴う台風?

台風8号と寒気核

こちらはちょっと見にくい図になってしまいましたが
真ん中あたりに日本列島が横斜めに配置されており
その東側に台風8号が予想されている
数値予報天気図を掲載しました

通常の台風・熱帯低気圧は下層から上層まで
暖気で構成されるのですが
この台風8号は上空に寒気を伴う台風となり、
台風と寒冷低気圧の両方の要素を持つような台風で
純粋な台風ではなかったようです。

日本海に抜けてから低気圧になってからも
上空に寒気を持つ低気圧として
同じようなエリアをウロウロしていたことも
寒気を伴った低気圧の特徴だったかと思います

このように通常とはやや異なる台風の構造をしていた
こともあり、それが雨の降り方にもあらわれたようでして
台風の中心から離れた所で大雨が降ったという特徴もありました

過去にも上空にある寒気の渦(寒冷渦)に取り込まれる形となり
日本付近を東から西へ進んだ前代未聞の異例コースを辿った台風が
ありました。

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台風8号がもたらした歴史に残る波

東京オリンピックに合わせて接近した台風8号

歴史に名を残すのは台風8号

こちらは7月20日の本ブログ記事の
アイキャッチ画像です

このタイトルどおり歴史に名を残す
台風になったのではないかと思います

https://asasfsas24.com/20210720/wave-21176/

オリンピック・サーフィン競技が開催される10日ほど前から、
各予想モデルにおいてオリンピック期間中に
熱帯擾乱が日本に向けて接近してくるのではないか
という情報が出てきていたことから

本ブログでも7月15日の記事から南海上の
雲域の動向を追いかけてきました

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低気圧の動向に要注目

最初に着目した南海上の雲域は
台風6号となり沖縄地方を通過して
東シナ海へと抜けていきましたが

その後にはるか南海上で発生すると予想された
熱帯擾乱は、7月22日の時点で台風のたまごが
形成されはじめ、

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23日午後9時に台風8号が発生
したことになります。

こちらは7月23日時点のSurflineの波の予想を引用掲載させてもらってます
https://www.surfline.com/surf-news/surf-forecast-tokyo-2020-olympics-tropical-cyclone-swell/126332

オリンピックで初のサーフィンの競技
が開催されることから
Surflineの波予想も毎日のように予想が更新され
WSLやISAのホームページにも掲載されていました

世界中のサーファーがこの南海上の
熱帯擾乱の動向に注目していた
のではないかと思います

7月18日頃にはアメリカ代表の4名の選手が
ホストタウンとなる牧之原市にて事前の合宿を
していました。

静波でのライディングがSNSでも多く投稿
されてましたけど
サイズはかなり小さくて、選手もかなり物足りない
感じがあったのではないかと思います

ただその前日には牧之原に新たにできた
ウェイブプールで練習していたようですね

オリンピックのサーフィン競技が開催される
25日までの千葉エリアは
はるか東海上の太平洋高気圧から東うねりによって
腹胸くらいのサイズはあったものの

まだまだ物足りないサイズの波が
続いていた状況でした。

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東京五輪いよいよ開幕

記憶に残る東京2020 オリンピックの波

台風8号が発生

そしてオリンピック開会式が行われている最中に
台風8号が発生
しました。

上記は7月24日の記事のアイキャッチ画像です
https://asasfsas24.com/20210724/wave-21254/

オリンピックのサーフィンのヒート1が
始まったのは2021年7月25日の午前7時。

オリンピック種目にサーフィンが
はじめて選ばれ正式種目
となり

そしてオリンピックではじめて
サーフィンが開催されるのが
千葉の志田下ポイントということで
何とも感慨深いものがありますよね

7月25日はオリンピック開催により
祝日が変動した4連休の最終日の
日曜日となり

無観客での開催となってしまったことから
多くの方がLIVE配信で
この記念すべきオリンピックのサーフィン
ヒート1を見守ったのではないでしょうか

Day1

東京五輪サーフィンはじまる
一部加工して引用:gorin.jp

 

こちらはDay1となる7月25日のブログ記事です
https://asasfsas24.com/20210725/wave-21273/

上記のアイキャッチ画像は
LIVE配信をしてくれていた gorin.jp から
一部加工して引用させてもらっています

実況天気図
2021年7月25日午前3時 実況天気図

 

7月25日のDay1の波
前週からずっと続いて反応していた
はるか東海上の太平洋高気圧からの
東~南東うねりに加えて

台風8号からのうねりの反応が
後半に少し良くなってくるといった波の状況

東京2020オリンピック会場
gorin.jp から一部加工して引用させてもらっています

 

朝のヒートでは
セットで腹胸くらいの波が入ってきていて
午前5時頃は北西からのオフショアベースの
風が吹いていましたが

午前8時くらいからは北東~東風が入って
面はザワついてきてしまいました。

ただ、志田下に入るうねりの向きとしては
ベストともいえる東南東うねりが入ってきており

堤防脇からブレイクするライトの波を
中心に素晴らしいライディングが
モニターに映し出されていました

はるべえ

Day1の模様は以下のNHKのサイトで
全てのヒートが見れます
https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/f4bcfff4-e7c9-448b-b4de-e113a8f8f91f/

右下にある「実況」を押すと
英語ですけど実況も聴くことができます

記念すべきヒート1には
世界チャンピオンのイタロ・フェレイラと
志田下をホームポイントとする
大原 洋人が対戦するヒートということで
瞬きも惜しむかのようにモニターを見ていました。

東京2020オリンピックDay1ヒート1
gorin.jp から一部加工して引用させてもらっています

 

そしてこの日は日曜で休みということもあり
朝6時50分の配信開始から16時半くらいの
ヒート終了まで
海にも入らず全部観てしまいました

志田下の波は前半はセットで腹胸くらい
後半は少しサイズアップしてきて
胸肩くらいにまでなったのかなと思います

北東ベースの風が継続して吹いていたようで
波はボヨつき気味で形にならないような
波が多かったのかと思いますが

そこは世界トップサーファーであり
オリンピック代表選手、
ガンガン技を繰り広げてくれて
どのヒートも見逃せない・見逃したくない
1日でした

Day2

サイズ十分オリンピックの波

こちらはDay2となる7月26日のブログ記事です
https://asasfsas24.com/20210726/wave-21320/

この日は月曜となり、仕事のある日なので
昨日のように丸一日PCモニター前から離れずに
見るなんてことは出来なかったのですが、、、

PCの横にiPhone置いて gorin.jpのLIVE配信を
ちょくちょく見ていました・・・

台風8号_210726

この日の午前3時の時点では
台風8号はこの位置にあって北北西へと
進路を変えて千葉方向へと向かうように
なってきたところです

実況天気図
2021年7月26日午前3時 実況天気図

 

7月26日のDay2の波
いよいよ台風8号からの東うねりが大きく
反応してきてサイズアップ!

頭オーバーのセットが入ってくるようになってきて
朝の時点では東南東の波で周期は10秒、波高は1.8mとして
発表されていました

波浪予想図

朝一番のヒートの女子ラウンド3の
Stephanie Gilmoreと最終的に銀メダルを獲得する
Bianca Buitendagのヒートは
朝一だったこともあって北北西の風で
この時点ではまだ少しまとまった頭サイズの波

Stephanie Gilmoreがこの時点で敗退してしまったのは
残念でしたけど、前日よりもサイズがあって
ライトの波を中心に素晴らしいライディングが見られました

通常のアングルだとどうしてもサイズがそんなに
なさそうに見えてしまいますけど
海の中からの映像を見ると結構サイズがあるのがわかります

ざっくり風イメージ210726

その後は台風へと吹き込む北東の風が強まってきて
サイズは十分ながらも風の影響が出てしまい
後半の波はまとまりのないジャンク気味な
感じにまでなってしまいました

昼になって風の影響が強まってきたからか
女子のラウンド3が終わった時点で一旦競技が中断となり
13:18までは競技は再開されないというアナウンスに・・・

この時点でもジャンク気味な感じになっており
翌日は台風の接近で更にサイズアップし
風の影響もより強まってくることが予想されたため
翌々日からの再スタートとなるのかなと思いきや・・・

13:18から競技が再開されました
これには少しびっくりしました

なんで13:18なのかはわかりませんけど
男子ラウンド3の五十嵐カノアの1ヒート目から再開!

午後はだいぶ風の影響がでてきてしまい
波は荒れて難しいコンディションながらも
志田下での凄いライディングが全世界に配信
されていました

日本人選手は五十嵐カノア、大原洋人、都築有夢路
ラウンド3を勝ち上がり、またCTサーファーが
順当に勝ち上がった感じがあります

特に大原洋人のヒートは
5.3ポイントを出さないと敗退というところで
残り1分ちょっと残したところの最後の1本で
エアーリバースが決まり5.67ポイントで大逆転!
この瞬間は興奮しましたね

あと第2ヒートでKolohe AndinoとJohn John Florence
のUSA対決となってしまったのは
ちょっともったいなかったですね・・・

最終のOwen Wrightのヒートの頃には
だいぶ波はボヨボヨでまとまりない
ジャンク気味になってきていましたが
この日のラウンド3は全て行われました

はるべえ

Day2の模様も以下のNHKのサイトで
全てのヒートが見れます
https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/f71cec3d-0001-43a2-b09e-df0401e6004c/

そしてこの日の夜には
スケジュールが変更になる旨のアナウンスがでて
もともと翌日27日と28日の2日間で決勝まで
実施される予定でしたが

なんと翌日27日にファイナルまで
一気にやってしまう
とのアナウンス

これにもびっくりしました

翌日27日は台風8号が最も千葉に接近する日であり
ラウンド3の時点でかなりジャンク気味で
風の影響が更に出そうと予想されていて

28日は台風が抜けたあとに南寄りの風になって
サイズは下がってくるもののコンディションとしては
志田下にはいい風になってくることも
予想されていたので

台風最接近の日にファイナルまでやってしまうという
予定変更はなんでかなと思っていたところでしたが
サイズが下がってしまうからでしょうか・・・

個人的な感想としては
翌日27日に決勝まで実施して良かったのではないかと
思いました

Day3

台風8号が接近中

こちらはDay3となる7月27日のブログ記事です
https://asasfsas24.com/20210727/wave-21340/

千葉に台風8号が最接近となったこの日
東京2020オリンピックのサーフィン競技は
決勝・ファイナルまで一気に行われました

この日も仕事だったので
じっくり見れるような環境ではなかったのですが
この日は正直仕事には集中できませんでしたね・・・😅

メールの返信くらいで
ほとんどLIVE配信を見ていたかも・・・

この歴史的な1日をLIVEでじっくり見れるように
休みが取れればよかったのですけど
横目で見ながらも所々で興奮とため息が入り混じる
そんな一日でした

台風8号_210727

午前3時の時点では
台風8号は銚子の南東250㎞にまで接近してきており
この時点では西よりに進んでいましたが

その後北へと進路を変えて千葉の東海上を
東北地方に向けて進んでいきました

実況天気図
2021年7月27日午前3時 実況天気図

 

7月27日のDay3の波
一般サーファーには到底エントリーできるような波ではない、
朝一からクローズアウトなコンディション

波のサイズはダブルオーバーヘッドくらいで
波数も多く手前はホワイトウォーターだらけ
というか少し茶色っぽく濁った感じもあって
手前は泡だらけな感じ

一般サーファーでは到底アウトに出れるような波ではなく
インサイドでドルフィン50回くらいして力尽きて上がる感じですが
そもそもこんなコンディションのときは無人ですね・・・

沿岸波浪予想図

発表では東北東からの波で周期は10秒、波高は2.4mとなり
午前9時の沿岸波浪予想図はこんな感じでした

オリンピックに合わせて接近してきたような
台風8号”ニパルタック”となりました

ざっくり風イメージ210727

こちらは午前3時の気圧配置に風とうねりの矢印を
追記したもので、青が風でグレーがうねりとして記載しています

前日までは台風が少し離れたところにあったことから
北東の風が強く吹きましたが

この日の朝は台風が近づいて吹き込みによる
北西の風が朝から強く吹いていました

メインのうねりは台風8号の東よりの波で
セカンダリーのうねりは台風6号からの
南よりのうねりです

朝の五十嵐カノアとKolohe Andinoのヒートのときは
まだ台風8号へと吹き込む北西~北北西の西まじりの風が
吹いていたことから
少しまとまった波も入ってきていましたけど
波はダブルオーバーヘッドのハードな波

 

前日までは右の堤防からエントリーしていたのですが
この日は各選手ともに海にむかって左の堤防のほうからの
エントリー

波数が多くてインサイドはホワイトウォーターだらけ
トップサーファーといえどアウトに出るのは
しんどい波だったと思います

Kolohe Andinoのドルフィンスルー?
のやり方が斬新ですごかった・・・

台風のコース次第では
西よりの風が続く可能性もあったので
北西の風が続けばいいなと思ったのですが、

時間の経過とともに
西よりの成分の風は入らなくなってきてしまい
北風が強まってきたことから
後半の決勝や3位決定戦は更にストーミーなコンディション

海上のジェットスキーによる安全が
確保された状態での開催なので
ここまで出来たのかと思いますが

普通に見たら完全にジャンクで
クローズアウトなコンディションで
大会は延期されることの方が多いのでは
ないかと思います・・・

そんなコンディションの中でも
見どころが多すぎて、ここで書き出したら
キリがなくなってしまうのですが

準々決勝の五十嵐カノアのチューブライド!
朝一のこのヒートは、まだ北西の風が吹いていて
比較的まとまった波が入ってきていました

東京2020オリンピック準決勝_カノア
NHK東京オリンピックサイトより画面キャプチャして引用 https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/159c133f-c58c-4a87-8494-73fd534edb6f/

 

準決勝のGabriel Medinaを9.33ポイントで大逆転した
フルローテーションのこの1本はホント興奮しましたね

この瞬間にたぶん他の人にオリンピックのライブ配信を
見ていたのがバレたと思います😅

東京2020オリンピック準決勝_フルローテーション
NHK東京オリンピックサイトより画面キャプチャして引用 https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/159c133f-c58c-4a87-8494-73fd534edb6f/

 

そして決勝の1本目、この波でItalo Ferreiraの板が折れたときは
手に汗握る緊迫した状況となり目が離せなくなりました

スペアとして持っていた白い板ではなく
もう1つの黒い板をセレクトした場面も
見応えのあるシーンでドラマがありましたね

東京2020オリンピック決勝
NHK東京オリンピックサイトより画面キャプチャして引用 https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/159c133f-c58c-4a87-8494-73fd534edb6f/

 

決勝のときはこんなサイズで
こんな荒れた波ながらもItalo Ferreiraは
着実に波に乗って点数を獲得していました

Italo Ferreiraは2019年に宮崎で開催されたWSGでも
たしか飛行機の関係か何かで会場入りが遅れて
既にヒート始まっている途中にギリギリ到着して

Filipe Toledoの板を借りて途中出場し
そのヒートは難なく1位通過しその後もとんとん拍子で
結局優勝してしまうという、

何ともラテン系というか
天性のキャラを持ち合わせているのでしょうか

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そしてオリンピックの結果はご存じの通り
Italo Ferreiraがオリンピックにおけるサーフィンの初代の金メダリストとなり
五十嵐カノアは惜しくも銀メダル、Owen Wrightが銅メダルとなりました

女子はやはり強かったCarissa Mooreが堂々の金メダルを獲得し
ラウンド3でStephanie Gilmoreと対戦した南アフリカの
Bianca Buitendagが銀メダル
そして日本の都築有夢路がCaroline   Marksをやぶっての
堂々の銅メダル獲得という結果となり

日本人選手2名がメダル獲得となる
素晴らしい成績となりました

日本だけが2つのメダルを獲得です!
ホント素晴らしい結果となり”波だ”(涙)が出そうです

はるべえ

Day3の模様も以下のNHKのサイトで
全てのヒートが見れます

準々決勝/準決勝
https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/159c133f-c58c-4a87-8494-73fd534edb6f/

3位決定戦/決勝
https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/622b4e37-615a-498f-8bc3-c6dd0c6e2753/

台風8号の記録ではなくて
オリンピックのことばかりの記事になってしまいましたが、、、
少し自分の感想を書かせてもらいますと、

やはりItalo Ferreiraが強かったですよね
ここ最近の傾向としてエアーで一発決めれば大逆転な傾向があり
今回のオリンピックでもそんな場面が何回もありましたが

決勝ではItalo Ferreiraもエアー勝負では挑まず
着実に点数がとれるライディングで多くの波に乗り
高得点を連発しての優勝でした

そういう意味ではOwen Wrightが銅メダルを獲得
したことはエアー勝負だけではないということを
示したような感じがして、個人的にはよかったなあと
思ったところでした

それと27日は延期したほうがよかったというような
意見もあったようですが、個人的にはこの日程で実施して
よかったのではないかと思いました

これは勿論結果論であるので個人的にこう思ったという
ことしか記載できませんが、

日本代表選手が銀メダルと銅メダルを獲得したという
こんな素晴らしい結果が残せたことが何より良かった
ということですね

五十嵐カノア選手は金メダルを逃してしまい
かなり悔しがっていたシーンは印象的でしたけど、
でも開催国の日本だけが2個ものメダルを獲得して
これだけサーフィンに注目が集まり認知されたということは
素晴らしい結果だったということに間違いありません

 

また、28日の方が南からの風に変わり、志田下はオフショアで
面クリーンな頭サイズのいい波が入ってきていたので
波のコンディションとしては28日のほうが全然良かったという
ことも確かかなと思います

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台風8号吹き込む南風

なぜあのクローズアウトな海での開催になったのかは
ISAのアギーレ会長の一声だった?なんて情報もありましたが

オリンピックの舞台で
あの台風接近時のダブルオーバーの波に乗る
サーファーの姿が
サーフィンのことをそんなに知らない人にも
強烈な印象と多くのドラマを残したのでは
ないかと思います

一般サーファーにとってみたら
28日の頭サイズの波でも十分大きな波で
ビーチから見るより海の中で見たほうが
波の大きさのインパクトは大きいですが

27日のクローズアウトの波は
明らかにビーチから見ても大きな波だという
ことがわかり

そんな波であんな凄いライディングができるという
常人には出来ないことをオリンピック代表選手は
映像で見せてくれました

翌日の頭サイズの波では、こんな迫力は見せられなかったし
ここまでの強烈なインパクトを残すことは
出来なかったのではないかと思います

インパクトを残すことが目的ではないかと思いますが
あのコンディションでメダルを2つ獲得できたということで
サーフィンに対するイメージが良くなって盛り上がってきた
ような感じがして、
いろんな意味で27日に実施してよかったのではないかと
今更ながら思ったところでした

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台風8号の発生から消滅までの記録

オリンピック開催前に南海上の動向がどうなるのか
7月中旬からは毎日、南海上の動向を気にしながら記事にしてきました

7月15日

まずブログで気になりだしたのがこちらの記事
はるか南海上に熱帯擾乱が発生しそうだといった
オリンピック開催の2週間前の記事からでした

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低気圧の動向に要注目

7月17日

最初に着目した熱帯擾乱は台風6号となり
当初は台風6号がオリンピック開催時期に接近
してくるのではと考えていました

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熱帯擾乱の動向

7月19日

台風6号は西へ進み東シナ海のほうへ進み
南シナ海には台風7号が発生しました
台風6号からの南うねりが和歌山の磯ノ浦に反応し
伊良湖~御前崎あたりまでサイズアップしてきていました

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台風6号からの南うねり

7月20日

そしてこの20日にはSurflineから
台風8号がオリンピックに合わせて北上してくる
予想を公開しSally FitzgibbonsがTwitterで投稿していました

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歴史に名を残すのは台風8号

7月22日

そしていよいよ台風8号のたまごの雲域が南海上に発生
衛星画像でも雲域がまとまってきている状況がとらえられました
世界中のサーファーがこの熱帯擾乱の動向に注目
していた頃だったかと思います

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7月23日

そしてこの日、東京オリンピックがいよいよ開幕する日
サーフィンがオリンピックの正式種目としてデビューする
歴史的なオリンピックの開会式が行われました

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東京五輪いよいよ開幕

7月24日

オリンピック開会式が行われたいた23日の午後9時

オリンピック競技期間中の波に
大きな影響を与えそうな台風8号が発生しました

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台風8号が発生

サーフィン競技開催中の25日~27日の記事は
先ほど記載したとおりです

7月28日

オリンピックのサーフィンデビューな3日間は終わり
〇〇ロスのような感じになった28日。

この日は競技は開催されないながらも
志田下のライブ波映像をずっと見てしまう一日でした
面が整って頭サイズのクリーンないい波入ってきてましたね

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台風8号吹き込む南風

7月29日

台風8号は関東の東海上を北上し
宮城県に上陸するという異例のコースとなりました

宮城県に上陸したのは統計開始以来
はじめてのことになります

そして台風8号は北日本を横断して日本海へと抜けた
ところで低気圧となりました

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台風8号は宮城県に上陸

まとめ:台風8号”ニパルタック”の記録

歴史的なオリンピックのサーフィン・デビューとなった
東京オリンピックの開催に合わせて接近してきた台風8号の
状況を振り返ってみました

関東の東海上を北上して宮城県に上陸した
はじめての台風にもなりましたが
大きな被害もなく通過していったことは
何よりでした

またこの台風による波によって
かなりハードなコンディションながらも
オリンピアンじゃないと太刀打ちできないような波での
オリンピック開催となり

サーフィンのイメージと認知があがり
日本にとっても素晴らしい成績が残せた結果となったかと思います

この記事を書いている2021年8月下旬は、
千葉エリアは波のない日がしばらく続いていますが
腿腰くらいの日本のいつもの小さい波での
オリンピック開催とならず、

ちょっと大きすぎてハードすぎたけど
台風8号からの波での開催となって盛り上がって
ホントよかったなあとたまに思い出します

この先もずっとこの台風によるオリンピック開催のことは
サーファーの記憶に残り、語り継がれていくでしょう

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