いい波に乗るために〜台風のことを知っておく-その1- (台風の定義と名前、強さと大きさ)

週末サーファーがいい波に乗るために

週末サーファーがサーフィンできる時間は非常に限られていますが、その限られた時間の中で ”いい波” をあてるために知っておきたい気象や海に関する知識と経験則についての記事です。

・風の向き・強さ・持続時間によるうねりの向きと強さ

・太陽と月と地球の位置関係から変化する潮まわりと毎日の干潮・満潮の時間による潮の動き

・ポイント毎の向きと地形・周辺ロケーションの環境などによる波のコンディション

その他、台風の記録や安全にサーフィンを楽しむための情報を記事にしています。

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なぜサーファーが台風に注目するのか?

某ポイント:台風の強い南うねりが入ったときに素晴らしい波が現れる

今更ここで説明するまでもないのですが、かく言う私もいつも台風に注目しているサーファーのひとり。

台風が発生するとメールが届くように設定しており、台風が発生している間は気象庁のHPを見る頻度が格段に増えて、最新の位置と予想されるコースや中心気圧などのデータを頻繁に見るようになり、どのエリアに台風のうねりがいつ反応してくるのかなどをいつも考えています。

なぜなら、台風のうねりによって、いい波、素晴らしい波に乗れるチャンスがあるからです。

ただ、いい波に乗るためにまた安全にサーフィンするためには、台風のことをよく知っておく必要があると思っています。

今回から数回に渡り、サーファーが日々の生活の中で最も注目する気象現象である「台風」について、基本的な知識から台風のコースによる波のコンディションなどを記事にしていきます。

今回は、1回目。そもそも台風とは何なのか、からスタートします。

そもそも台風とは何なのか

台風の定義を明確に答えることができる人は、一般にはそんなに多くないと思います。

サーファーにとってみたら、本当は別に台風だろうが熱帯低気圧だろうが関係なく、自分のホームポイントにどんな波がやってくるのかのほうが知りたい情報でしょう。

なんですけど、一言に台風といっても、それだけで何冊も本があるくらいの内容であり、知れば知るほど非常に奥深い自然現象です。

また近年は、この台風による災害が多く発生してしまっている傾向にあり、サーファーでなくても台風に関する知識(メカニズムや台風予報の見方や台風への備えなど)を知っているか知らないかで、もしかしたら生命に関わることにも繋がらないとも限りません。

ということで、まずは台風の定義からの解説をしていこうと思います。

台風かどうかは中心付近の最大風速で決まる

台風とは、

熱帯低気圧の中心付近の最大風速が17.2m/s以上

になったものです。

ではそもそも熱帯低気圧とは何なのか?

ここではそこまで詳しい解説は不要と思いますので簡単に書きますが、日本付近で発生する低気圧は寒気と暖気による温帯低気圧であるのに対し、熱帯低気圧は南海上の暖かい空気だけで出来ている低気圧のことです。

まあざっくり言えば、はるか南の海上で発生した低気圧が熱帯低気圧と思ってもらってよいと思います。

その熱帯低気圧の中心付近の最大の風の強さが17.2m/sより大きくなったものが台風となります。

また、この中心付近の最大風速によって更に台風のランクがあり、ニュースで使われる “強い台風” や “猛烈な台風” などの表現は、この中心付近の最大風速によって分類されています。

※実はこの台風の強さなどの分類は日本の分類の他に、国際的な分類もあり表現の仕方が少し異なります。詳細は後述します。

発生する地域によって呼び方が異なる

また台風とはこの中心の風の強さだけでなく、世界的に見れば地域によっても分類されています。

  • 台風
  • ハリケーン
  • サイクロン
  • ウィリーウィリー

気象現象的には同じ性質のものなんですが、発生する地域によって名前が異なるだけです。

台風

日付変更線を境界とした太平洋の西半分から南シナ海で発生するもの

ハリケーン

太平洋の東半分と大西洋およびカリブ海で発生するもの

サイクロン

インド洋で発生するもの

ウィリーウィリー

オーストラリア周辺で発生するもの

台風の名前

台風にはそれぞれ名前がついていることは広く知られていることです。

特にアメリカやオーストラリアでは昔から名前で呼ばれており、有名なものとしては2005年のハリケーン カトリーナなどがあります。

日本では台風は番号で呼ばれており、その年の発生順に、台風1号、2号、、、と番号がつけられます。

なんですが、

2000年からは、台風の影響を受ける北西太平洋沿岸のアジア13ヶ国とアメリカで「台風委員会」なるものが発足し、そこに参加している各国が名前を持ち寄って140個の台風の名前リストを作成しました。

こちらのリストには、1つ目の ダムレイ(カンボジアがつけた名前で象の意味)から140個目のサオラー(ベトナムレイヨウ?)までリストに記載されています。

2000年からこのアジア名が始まったので、2000年の台風1号は「ダムレイ」から命名され、2000年は台風23号まで発生したので「ソーリック」まで命名されました。

翌2001年の台風1号は24個目の「シマロン」から順番に命名され、それ以降の年も同じようにこの140個の台風リストの順番通りに命名されていきます。

140番目の「サオラー」まで命名されたら、また最初の「ダムレイ」に戻り同じ命名ルールが繰り返されていきます。

日本もこの台風委員会にて名前を提示しており、「テンビン」「ヤギ」「ウサギ」「カジキ」「カンムリ」「クジラ」「コップ」「コンパス」「トカゲ」「ワシ」の計11個の名前があります。

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台風の強さと大きさ

台風の国際分類と強さの表現

先程の章でも記載した通り、台風は中心付近の最大風速によって熱帯低気圧か台風かを決めることになっています。

これは国際的にも同じ基準として決められており、台風の国際分類としては以下のようになります。

中心付近の最大風速(m/s)

17.2m/s未満:Tropical Depression (TD)

17.2~24.5m/s未満:Tropical Storm (TS)

24.5~32.7m/s未満:Severe Tropical Storm (STS)

32.7m/s以上:Typhoon (T)

国際的にはこんな感じで、台風と熱帯低気圧、および台風の強さに関して取り決めされているんですけど、これをニュースで読まれても直感的によくわかりませんよね?

なので、日本の気象庁は、以下のように中心付近の最大風速により台風の強さを定義しています。

33m/s~44m/s未満「強い台風

44m/s~54m/s未満 「非常に強い台風

54m/s以上「猛烈な台風

なお、台風となる基準の17.2m/sから33m/s未満のときには、特に前につける表現はありません。

台風の大きさ

台風の強さは中心付近の最大風速によって分類されるのに対して、台風の大きさは、「風速15m/s以上の強風域の広さ」で定義されます。

強風域の半径:

500km~800km 「大型の台風

800km以上 「超大型の台風

なお、以前は「並の台風」や「小型の台風」という表現が使われていたのですが、大型や超大型に対してインパクトが弱く感じることで、警戒感が薄くなってしまう恐れがあるため、これら表現は使われなくなったという経緯があります。

あともう一つ重要なカテゴリがあり、風速が25m/s以上のエリアを「暴風域」 といいます。

強風域のようにエリアの大きさでのカテゴリ分けは特に暴風域としてはないのですが、暴風域がある台風の場合には、台風情報の中で暴風域の範囲や今後暴風域になる恐れがある暴風警戒域の情報が含まれます。

台風の強さと大きさの捉え方

台風が日本に接近している場合のニュースでは、この台風の強さと大きさについての情報は必ず含まれますが、このような情報を得たときに我々はこの情報をどのように捉えたらよいのか? これだけだと、少しわからないかもしれませんね。

捉え方として、ここではまず安全に対する目線としての捉え方の一例を記載します。

台風の強さの捉え方

繰り返しになりますが、台風の強さは「強い」「非常に強い」「猛烈な」の3つの強さの表現があります。

これは中心付近の最大風速により分類されているので、当然ですけど、”台風の強さ”とは”台風の風の強さ”として捉えることができます。

以下は、気象庁から提示されている風の強さと吹き方についての情報です。

気象庁パンフレット:「大雨や台風に備えて」より引用

強い台風」以上の台風が接近しているときには、ここに表現されているような状況もしくはそれ以上の状況になる可能性が高いということだけ、まずは見てもらえればよいかと思います。

これら3つの強さの冠がついた台風が接近しているときは、各自で何かしらの対策が必要ということです。

気象庁パンフレット:「大雨や台風に備えて」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/ooametyphoon/ooametyphoon201903.pdf

最大風速と瞬間最大風速

またここで特に台風情報の中身として注意して理解しておきたいのが、風速についてです。

気象庁がいつも毎時のアメダスなどで観測している、風速とはある時刻の前10分間の平均風速だということです。

この10分間の平均風速が最大になったものを使って、台風の強さの分類で使う最大風速を出しています。

ということは、

この最大風速は平均から出している値であることから、瞬間的にはもっと強い風が吹いているということです。
これを最大瞬間風速といいます。

過去からの様々な観測やデータから、最大瞬間風速は最大風速の1.5倍~2になることがわかっています。

つまり、強い台風となる閾値である33m/sの最大風速として表現していたとしても、突発的に吹く最大瞬間風速は、49.5m/s~66m/sにも達する可能性があるということ。

そうなると、先程掲載した風の強さと吹き方にも記載のないような風が吹く可能性があるということで、そうなれば、

車の横転

家屋や電柱の倒壊

などにも至るケースとなり、非常に危険な風が吹くということになります。

昨年、近畿地方に甚大な影響をもたらした台風21号の被害状況などを見てもらえれば、その威力などがよくわかるかと思います。

平成30年台風第21号(Wikipedia)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/平成30年台風第21

このように

台風情報で表現される風速の1.52倍の風が瞬間的に吹く可能性がある

ということをよく認識しておく必要があります。

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台風の大きさの捉え方

台風の大きさは、強い風が吹いているエリアが広いかどうかということになります。

先程掲載した風の吹き方の表では、最大風速が15m/s以上となる欄に記載されている現象が発生する可能性が高いエリアということになります。

そして、最大瞬間風速としては30m/s以上の突風が吹く可能性があるエリアとも言えます。

台風に強風域があるときは、ニュースなどの台風情報でも必ず強風域の情報が含まれます。

強風域の半径により定義される台風の大きさですけど、台風の中心から同心円状にどの方向にも同じ大きさで強風域があるという訳ではありません。

これはまた別の機会に記載しようと思いますが、

台風の風速は台風の進行方向の右側で強くなります

これは台風の右側では風向きと台風の進行方向がほぼ同じになることで、風の強さに台風の速度が加わるためです。

よって台風情報に含まれる強風域は、台風の進行方向の右側エリアのほうが左側のエリアより強風域の範囲が広く解析されることが多いです。

 

以下は2018年台風21の地上天気図。

ここに台風情報として、風速30KT以上(≒15m/s以上)の強風域については以下のような記載があります。

OVER 30 KT WITHIN 180 NM N-SEMICIRCLE
                                    150 NM ELSEWHERE

  • 台風北側の半円では中心から180海里以内
  • その他のエリアでは中心から150海里以内

この天気図上での台風は西に12KTの速さで進んでいるため、進行方向右側の北半円で風速が大きくなり、強風域の範囲が大きくなっていることがわかります。

これらの情報から、

台風の位置と今自分がいる位置、および台風の強風域がどのエリアにどれくらいの範囲であるのかがわかれば、「台風がこのあたりまで来たら今の自分のいる場所でもかなり強い風が吹きそうだ」、ということがざっくりわかるようになります。

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まとめ

今回は、そもそも台風とは何なのかというところから台風情報で重要な情報となる台風の強さと大きさに関する内容と情報の捉え方について記載しました。

台風に関する内容は、サーフィン観点のものよりも先に、まず安全観点からの情報を記載しておくべきと思いますので、次回も台風情報の捉え方から台風の特徴についての内容を記事にまとめていこうと思います。

安全にサーフィンを楽しむためにも、サーファーはよく台風のことは知っておくべきと思っています。

以上、「台風のことを知っておく(台風の定義と名前、強さと大きさ)」でした。

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