【Kindle】サーファーが知っておきたい台風の知識
https://asasfsas24.com/20190709/wave-8409/
https://asasfsas24.com/20190805/wave-8852/
https://asasfsas24.com/20190908/wave-9619/
かなりボリュームのある記事となってしまいましたので、お時間あるときにじっくり読んで頂けたらと思います。
波の発達と波高
波の発達についておさらい
/サーファーはいつも風を気にしています\はるべえはるべえ@サーフィン大好きな気象予報士です。そうなんですサーファーはいつも風を気にしているんですよね海に行く前日はもとより平日の[…]
これが波の発達のベースとなる考え方であり、波とうねりを計算する際にはこれら考え方を使った複雑な計算式に、いろいろな観測されたデータや推定される値を代入して、ある地点ある時刻の波高や周期が計算された結果として出てきます。
また最近では、
有義波高
ある地点で一定時間に観測される波のうち、高いほうから順に1/3の個数を選んだものを「有義波」といい、この有義波を平均したものを「有義波高」といいます。
実際に波の観測者が目視で観測する波高や周期に近いのが、有義波高と言われています。

台風の波の推定
天気予報などで予想としてでてくる波の高さはどのような考え方を
波をつくるエリア:風場
- ①どれくらいの強さ
- ②どれくらいの距離
- ③どれくらいの時間
この日は南海上に台風9号と10号がそれぞれある気圧配置です。
ここではおおよその考え方としてざっくり以下のように表現しています(本当はもっと厳密にとる必要あり)。
この赤枠の範囲・エリアの風によって、千葉南エリアに向けた波がつくられます。

- どれくらいの風速
風場が台風の中心からどれくらい離れたところにあるのかで、中心付近の最大風速から風場の風速を推定する。 - どれくらいの距離(吹走距離)
千葉南エリアに向けた風場の範囲の大きさ(千葉南に向けて風が吹いている距離≒赤枠の長辺の距離)を地上天気図から算出する。 - どれくらいの時間(吹続時間)
地上天気図の時間推移から、千葉南に向けた風場がどれくらいの時間続いているかを推定する
最も基本的な推定の考え方
- 波の波高と周期を求める目的地を設定(→今回は千葉南エリア)
- 台風周辺で作られる目的地に向けた波の波高と周期を算出(→風場でつくられる波高と周期を算出)
- 2 で算出された波が目的地に到着する頃にはどんな波になっている
のかを算出(→距離による減衰など考慮)
簡単に記載すると、
- 風場内の風速は台風の中心付近の最大風速から推定
- 距離は設定した赤枠長方形の長辺の長さから算出
- 吹き続く時間はこの時間の前後の天気図から推定
として風場の中の風の状況を推定します。
- 波高;9m
- 周期;11秒
- 到達時間;55時間
- 波高:3.6m
サーファーにとっての台風の波
- どれくらいの大きさの波になるか
- うねりが反応するタイミングはいつか
- うねりがいつまで続くか
台風の波はどれくらいのサイズになりそうか
沿岸波浪予想図の活用
沿岸波浪実況図/24時間予想図の見かた(気象庁ホームページ)


- 卓越波向は「ENE」→ 波の向きは東北東
- 周期は「13」→ 13秒
- 波高は「1.7」→ 1.7秒
周期データが重要な理由
はるべえはるべえ@波乗りお天気ブログを毎日更新している気象予報士です今回はいよいよ「波」についていろいろと書いていきます・・・ 前回こちらの記事にて波をつくるための風について[…]

- 波長
隣り合った波の山と山(もしくは谷と谷)を結ぶ水平距離のことを「波長」といいます。 - 波高
波の山の頂上と谷の底の高さを「波高」といいます - 波の周期
1つの波の山(谷)が通過してから次の波の山(谷)が来るまでの時間を「波の周期」といいます。
波高が「高さ」、
はるべえはるべえ@波乗りお天気ブログを毎日更新している気象予報士です今回も「波」についていろいろと深堀していきたいと思います・・・Kindle電子書籍には本記事の内容をベースにより詳しく内容を[…]
- 波は水深が深いほど速く進み、水深が浅いほど遅くなる
- 水深が波長の1/2以下になると海底の地形の影響を受けるようになる
- 波長の1/7の高さになると波のトップが地球の重力により下に崩れる
逆に周期が短い波というのは、間隔の短い波が多いということなので波のエネルギーが小さくパワーが少ない波となります。
そんな波がサンドバーやリーフにヒットしたときには、パワーがあることからしっかりとしたショルダーの張った波がブレイクして、サーフィンに適した波となります。
- 周期が8秒以下 → 風波
- 周期が8秒を越える → うねり
海上保安庁のHPにはうねりの階級としては以下のように定義されているようです。
- 短く:波長100m未満、周期8.0秒以下
- 中位の:波長100~200m、周期8.1~11.3秒
- 長く:波長200m以上、周期11.4秒以上
一方で陸地から遠く離れた海上からの周期の長い波は「うねり」
時速で換算してみると、周期8秒の波なら時速22km、周期16秒では時速45kmの速さです。
サーファーの乗る波のサイズ推定
波伝説のレポーターの方が実際に自身でチェックされた波のサイズ
これで明日の波のサイズがわかる(かも?)数値予報を楽しむ方法|MINのウラナミVol.273
私はちゃんとデータを取得したことはないのですが今までの経験か
面積1:モモ以下
面積1.5:腰
面積2:腹
面積3:胸
面積4:肩
面積5以上:頭以上
この日は台風5号が東シナ海を北上しており、太平洋側には南西から南うねりが反応した一日でした。

- 波高は「1.5」→ 1.5秒
- 周期は「10」→ 10秒
- 卓越波向「S」→ 南うねり
気圧配置&天気と波情報 :千葉北も東うねりでいい波!午前3時の実況天気図 ASAS大型の台風5号は昼の12時時点では中心気圧を985hPaで黄海を北東へ進み朝鮮半島に上陸しようとしているところです。日本の東海上には低気圧が[…]
地点毎に波のデータを知りたい場合

- アプリならハンバーガーメニュー、PCなら画面右のメニュー から「波」を表示させる
- 「波」が表示された状態で、波のデータを見たい地点をクリック(
アプリなら長押しタップ) - 「天気ピッカーを表示」というメニューが出てくるのでそれを選択
- クリックした地点の風向風速、卓越波向、波高と周期 が表示される

天気ピッカーは真鶴町を指してますが、湯河原の吉浜ポイント付近の風と波のデータが表示されています。
先ほど引用した三角形の面積と波のサイズの関係を見てみると腹胸サイズくらいなので、だいたい合ってますね。
参考)使用する予報モデル
ただこちらのデータはコンピューターで計算されたデータをそのまま表示させており、予報官の立場の人の目を通しているという訳ではありません。まだまだ10日先の予想精度はブレる場合が多いため、予想がコロコロ変わることがほとんどと思っておいたほうがよいでしょう。
1週間以上も先の状況を見るというよりかは、明日からせめて明後日くらいまでの直近の波の予想データを見るような使い方がよいのではないかと思います。
台風のうねりはいつ反応してくるか
波浪予想データの活用方法
- 沿岸波浪予想図では予想時刻が決まっているため、
その時刻においてどんな波がありそうなのかはわかりますが、 いつ頃から反応しそうかといった観点では情報が不足します。 - Windy.com では1週間先までの波とうねりの予想がデータと視覚の両方で出て
くるので、予想時刻のカーソルを動かしていけば、 どれくらいのタイミングで周期の長い台風からのうねりが入るのか がざっとわかります 。
経験則的な推定方法
最近は台風が北緯20度線を越えてきても、
うねりの反応タイミングに参考となるデータ
活用できそうないろいろなデータを見て、台風のうねりがビーチに届くタイミングを推定していきます。
ここでの推定の前提は、以下2点です。
- 台風が南海上を北上してから北東方向に進む、典型的な夏~秋にかけての台風の進路をベースとして考えています
- 首都圏のサーファーの目線として、千葉や湘南をメインとして記載しています
各エリア毎に同じように目安になるデータがあると思いますが、今回は湘南と千葉エリアの観点からの記載となります。
西日本〜東海エリア : 南向きポイントの波情報チェック
- 西日本エリアでは、四国だと内妻、和歌山の磯ノ浦、
伊勢の南張とジャン などの南向きのポイント - 東海エリアでは、遠州灘の伊良湖から御前崎まではほぼ南向きのポイントなの
で千葉や湘南に一番近い御前崎の反応を見ることが多いです。 - 伊豆の多々戸も南向きポイントなので、
ここも参考になります。
磯ノ浦、御前崎、多々戸はtwitterで波の動画を共有してくれる方がいるので、とても参考になります。
- 西日本までうねりの反応があるようだから、
明日には湘南にも南西うねりが反応しそうだね、っとか - 御前崎までサイズアップしてきているから、
明日の朝には湘南もサイズアップしているはず っとか
それくらいです。
- 磯ノ浦がサイズアップしてから12〜24時間くらい
- 御前崎がサイズアップしてから3〜9時間くらい
繰り返し記載しますが、
波浪観測データを活用してみる

波浪観測情報:石廊崎
①2019年7月20日:台風5号からの南西うねりの反応
週末土日に合わせて南西うねりのいい波![caption id="attachment_8869" align="aligncenter" width="900"] 台風経路図(気象庁HPより引用)[/caption]フィリピン[…]
②2019年8月15日:台風11号からの南西うねり
午前0時をまわったところで波高:3.5m & 周期:11.5秒まで一気に上昇。午前1時のデータ値も波高:3.9m & 周期:12.3秒。
気圧配置&天気と波情報 : 内房にもしっかりとした南西うねりが届く午前9時の実況天気図 ASAS今日は完全に事後の更新となります。昨日の時点では台風10号からのうねりが南から南西にシフトしつつも、まだはっきり[…]
午前0時に石廊崎が反応しはじめたとして、6~7時間後には実際に千葉南エリアは台風からのうねりによりサイズアップしたと見ら
③2019年8月25日:台風11号からの南西うねり
気圧配置&天気と波情報 : 太平洋側は各地で遊べる日曜日午前3時の実況天気図 ASAS台風11号からの南西うねりが太平洋側に反応してきているようです!大きなグランドスウェルとしての反応はないようですが、西日本の南向きポイン[…]
この日の朝一には、四国の内妻や和歌山の磯ノ浦で腰腹くらい、御前崎や多々戸は腹胸くらいの反応、湘南と千葉南エリアにも腰腹から胸くらいのサイズが入っていたようで、大きなサイズではないですが既に南西うねりが反応していた事例です。
まとめ
ざっと以下内容について事例を用いて私の経験則的なところもふんだんに取り入れながら、記事にしてみました。
- 波の発達についてのおさらい
- 波の推定に関する基本的な考え方
- 台風の波のサイズはどれくらいになるのか
- 台風のうねりはどのタイミングで反応してくるか
サーフィンの奥深さのひとつであり、
本記事の内容は
こちらのKindle電子書籍にて
一部追記・更新して
より詳細な内容で出版しています。
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なぜサーファーが台風に注目するのか?[caption id="attachment_8459" align="alignleft" width="2016"] 某ポイント:台風の強い南うねりが入ったときに素晴らしい波が現れる[/capt[…]
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