波乗りお天気ブログを毎日更新
している気象予報士です
今回も「波」について
いろいろと深堀していきたいと思います・・・
Kindle電子書籍には本記事の内容をベースに
より詳しく内容をまとめてますので
合わせてご覧ください
~
波はどうして崩れるのか?
前々回のこちらの記事にて
波の発生から終わりまで
について記載しました。
はるべえはるべえ@波乗りお天気ブログを毎日更新している気象予報士です今回はいよいよ「波」についていろいろと書いていきます・・・ 前回こちらの記事にて波をつくるための風について[…]
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”個々の波はそれぞれ発生した海域をでて、
うねりとなり、ビーチに到着するころには
オフショアの風に出会い面は整えられて、
浅くなった海底まで達すると波は崩れ、
1つの波としての生涯を終える
ことになります”
\
うねりがビーチに到着するときには
いつもオフショアという訳では
ありませんが、、、
うねりはビーチに近づいて
海底が浅くなると
波の速度が遅くなり
波高が高くなります。
これは波の波長と水深の関係
によるものです。
波は自身の波長の1/2の水深
になるまでは海底の影響を受けません。
ここで、
波の進む速さとは一般的に、
V=√gh
とあらわされます。
- V=波の進む速さ
- g=重力加速度
- h=水深
です。
これは水深が深いほど波は速く進み、
水深が浅いほど遅くなる
ということです。
うねりが沿岸に近づいて
海底が浅くなって水深も浅くなると、
波の速さは遅くなり
ブレーキがかかるようになります。
そうなると海岸付近では
後からくる波との間隔がだんだん狭くなり、
後からくる波にだんだん追いつかれて
波が前後に押し縮められる
ような格好となり、
波高が高くなっていきます。
ですが、
この波高というのは、
波長の1/7が重力に耐えられる限界
であるといわれており、
この波長の1/7の高さになると
波の上部(トップ)が地球の重力により
下に崩れていきます。
これがいわゆる
”波がブレイク”
するということです。
このように、
波が崩れる・ブレイクすることと
海底の深さ・水深は
密接な関係となっていて、
波はこの海底の地形や形状によって
ブレイクにいろいろな特徴が
でてきます。
~
海底の地形や形状によるブレイクの特徴
サーフィンができるポイントでは主に以下のタイプの”ブレイク”があります。
①ビーチブレイク
②リーフブレイク
③リバーマウス
①ビーチブレイク
海底が砂のビーチ、サーフポイント
のことです。
一般的に海水浴場と呼ばれているところは、
海底が砂であるところが多いですが
そのようなメジャーな海水浴場の
ポイントはほとんどがビーチブレイク
となります。
海底が遠浅の砂になっているところで
波はブレイクします。
~
砂は海底で移動することができるので、
その時によって同じ場所でも
水深が浅い日もあれば深い日も
でてきます。
つまり海底の砂の動き次第で
ブレイクの状況が変化するということです。
砂はいろいろな条件によって
動くことがあります。
大きな台風が接近したときに
海が大荒れとなって、
海底の砂がまきあげられて
動く場合などがあります。
2019年に千葉県に甚大な被害をもたらした
台風15号と19号の通過したあとには、
多くの千葉南エリアのポイントで
地形が深くなってしまい、
波が小さいときは
潮が少ない時間帯しか
波が割れない状況が続きました。
また後述しますが、
梅雨前線などによる大雨が降った後には
河口に多くの土砂や砂が流れこむ場合があり、
河口付近のビーチには
地形が浅くなる場所が現れる
ことがよくあります。
波のコンディションはサンドバー次第
この砂が動くタイミングで、
海底のある場所に砂が溜まるときがあり、
これを「サンドバー」といいます。
このサンドバーができている場所、
つまり部分的に海底が浅くなっている
場所ができると、
このサンドバー付近から
波がブレイクすることになり
いい波が現れます。
このように
適度にサンドバーが形成されている
ときのことを「地形が決まる」といいます。
ビーチブレイクは
この海底の砂の付き方次第で
良くも悪くもなるため、
いい波に乗るためにはこの
「砂の付き方」
も考慮にいれなければなりません。
まったく同じように見える海でも、
よーく見ると
あそこだけよくブレイクする
という場所が見つかることがあります。
そこの海底には
おそらくサンドバーが形成されていて、
水深が部分的に浅くなっている
のかもしれません。
また海底が砂なので、
岩や玉石やサンゴ礁などに比べて
波に巻かれても比較的安全
であることから、
ビギナーでも安心して入れる
ポイントという特徴もあります。
~
②リーフブレイク
海底が主に岩でできているポイントのこと。
ビーチブレイクは
海底が砂のポイントであることで、
その砂の付き具合により
ブレイクが左右されますが、
リーフブレイクは
海底が岩であることから
海底の形状は変わることはないです。
つまり、
海底が浅くなっている場所が
変わらないということであり、
波がブレイクするポイントも
一定の位置となります。
厳密にいうと
潮の満ち引きや波の大きさによって
波がブレイクする場所は変わって
きますけど、
ビーチブレイクのように
海底が浅い部分は変わらない
という意味で捉えてもらえれば
と思います。
その海底の形状により
ライト方向のみのポイントや
レフト方向のみブレイクするポイント、
また左右同時にきれいに割れる
いわゆるAフレームのパーフェクトな
波を作りだすポイントと様々であり、
サーフィンには理想的な
波となるポイントが多いです。
リーフブレイクにはリスクも多い
こんな一見いいことずくめ
のようにも見えるリーフブレイクですが、、、
ビーチブレイクと比較すると、
いろいろリスクが伴うポイント
であるとも言えます。
まず想像に容易いのが、
海底が岩であることから
波に巻かれたときには非常に危険です。
波がブレイクするエリアは
海底が浅くなっているところなので、
ワイプアウトしたらすぐに岩に
叩きつけられてしまいます。
ワイプアウト以外にも、
まず海に入るときやアウトに出るときに
岩で足を切ってしまうこともザラです。
岩の上をリーフブーツなしに
歩いているときには・・・、
人間の弱さというかモロさというか、
自然の大きさを身をもって
知ることができると思います。
ウニに刺されることもあれば、
リーシュコードが岩に引っかかって
動けなくなってしまうこと、
岩に挟まって身動きできない
なんてこともあるかもしれません。
更にビーチブレイクと比較して
潮の流れが複雑でカレントも
強い場合が多いです。
リーフブレイクは潮回りのチェックが重要
また海に入る時間も
よく見ておかなければいけません。
海底が浅いポイントでは
潮が上げている時間じゃないと入れない場合や、
逆に潮が引いている時間じゃないと
ブレイクしないなど、
よく潮の動きを把握して
海に入る必要があります。
単純に干潮と満潮の時間帯だけでなく、
潮回りや潮位を把握してないと
危険な場合もよくあります。
潮が◯◯cm以下の時間帯は
サーフィンは危険とか、
今日は長潮で干潮でもあまり引いて
こないから1日できたとか、
よく海のことを知っておく必要があります。
更にリーフブレイクでは
波がブレイクする位置が一定であることから、
ブレイクポイントに人が集中して
混雑することがよくあります。
ローカルの方で回しているポイントでは
ビジターの方が乗れるチャンスは
少なくなり、
混雑したピークでは
トラブルになる確率も
高くなってきます。
このようなリスクを多く伴っていることから、
敬遠されることもある
リーフブレイクですが、、、
海のことをよく知り、
そのポイントを大切に守っているローカルにも
敬意を持って接し、
自身の技量と海に入るタイミングを
合わせることが出来れば、
素晴らしい波に出会える
確率は高くなります。
③リバーマウス
関東エリアの
週末サーファーにとっては
あまり馴染みのないブレイク
なのかもしれませんが、
日本が誇るサーフポイントと言えば、
このリバーマウスだと思います。
なぜ河口の波がいいのか?
リバーマウスとは
その名のとおり河口のこと。
ではなぜ河口の波がいいのか?
一般的には河口は
海底が砂でできている
エリアが多いことから、
ビーチブレイクと特徴的には
変わらないところがあります。
ビーチブレイクと異なる点は、
砂の付き方です。
比較的大きな川の河口には、
川の上流から流れてきたものが
流れ着きます。
特に川の上流で
大雨や土砂崩れなどが発生した場合には、
上流から下流に向けて土砂が多く運ばれてきます。
河口まで流れ着いた砂や土砂は、
海に出て反対方向から
やってくる波に出会うことで
川の流れと波の間に挟まれた状況となり、
砂が河口付近に蓄積しやすくなります。
この砂の蓄積=サンドバーが出来やすい
というのが河口の波が通常のビーチブレイクと
異なる点です。
河口付近の海をよく見てみると、
河口から離れたところは
まったく波がないのに
河口のエリアだけ
波がたっていることがあります。
河口から離れたところは
海底が深く砂が付いてないところで
波はインサイドのみのブレイクだけど、
河口付近はサンドバーが形成されて
頭くらいの波が割れている
という状況が河口のポイントです。
リバーマウスはカレントが強烈
ただこのリバーマウスにも
リスクが伴います。
まずカレントが非常に強く
複雑な流れになっていることが
多いこと。
河口なので当然ですが
川から海に向けて流れが入ります。
この流れの強いときには
一気に沖まで流されてしまう
リスクがあります。
ゲッティングアウトも
よく状況を見てからにしないと、
ブレイクポイントにいくらパドルしても
到達しないこともあったり、
全然反対の方向に
どんどん流されてしまうことも
あります。
また、
この河口の地形を常に気にしている
ローカルのセッションとなっている
ことが多く、
ローカルがきつくて
ビジターが容易く入れるような
ポイントが少ないというのも
実態としてあります。
ただこれら条件をクリアして
うまくラインナップに着くことが
出来たならば、、、
テイクオフから掘れ上がる
チュービーなパーフェクトの波を
堪能することが出来るかもしれません。
東の横綱は酒匂川
関東エリアのポイントでは、
西湘にある酒匂川河口が
有名なポイントです。
例年ですと
7月頃には梅雨末期の大雨で
上流から大量に運ばれた土砂が
河口付近に運ばれてサンドバーを形成。
そこに台風の南からの
強いうねりがヒットすると、
富士山をバックにした
パーフェクトな素晴らしい波が
ブレイクしている光景を
西湘バイパスからも見ることができます。
ただこんなコンディションの日には
ローカルやプロのセッションとなり、
ビジターがいい波に乗れるチャンスは
まずないと思ったほうが
いいかもしれません。
リバーマウスと言えば四国
四国には西の横綱級の川が
何本も流れています。
特に有名なのが、
徳島の海部川、
高知の物部川と仁淀川です。
これら河口の波は
世界に誇れる波として
ずいぶん昔からいろんな雑誌等でも
取り上げられています。
河口に蓄積した
サンドバーの状況・強いうねり・当日の風などの
多くの条件が整ったときには、
波のクオリティはまさに
世界に誇れるレベルの波が出現し、
ここの波に魅了され
海外からも移住するサーファー
がいるほどです。
一年に数回あるかないかの
波の出現のために、
河口の地形の状況や
天気図を常にチェックして
その日を待っている人がいます。
そんな日はやはり
ローカルとプロのセッションとなり、
ビジターはギャラリーにまわったほうが
良さそうです。
~
今回は波のブレイクと
代表的なポイントの種別について
記載してみました。
リーフブレイクやリバーマウスの波で
いい波に乗るためには、
- それなりのリスクがあるということ
- 海や気象の知識と安全に対する意識
- 自身のサーフィンの技量
- ローカルとのコミュニケーション
が必要になる場合がある
ということを
知っておいてもらえればと思います。
Kindle電子書籍では
もう少し詳しくいろいろと
記載しています。
~
kindle電子書籍: いい波にのるために
本記事の内容は
こちらのKindle電子書籍にて
内容一部追記・更新して出版しています。
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