波乗りお天気ブログを毎日更新
している気象予報士です
今回は波のブレイクについて・・・
前回の記事では、
波の要素と種類、波の発生から終わりまで
について記載してみました。
はるべえはるべえ@波乗りお天気ブログを毎日更新している気象予報士です今回はいよいよ「波」についていろいろと書いていきます・・・ 前回こちらの記事にて波をつくるための風について[…]
今回はサーフィンにとっての
波のコンディションに
フォーカスして記載していきます。
~
波のコンディションとは
サーフィンにとっての波のコンディションは
いろいろな要素により影響を受けます。
波の面/フェイス
→ 主に風により影響を受ける。
潮の動きも影響が出る時がある。
波のブレイク/崩れ方
→ 海底の地形や形状、
うねりの向きにより影響をうける
以下は主に
このブログの 毎日の気圧配置と波情報 にて
用いることが多い言葉を中心に、
それぞれのケースについて記載していきます。
~
風の吹き方による波のコンディション
面ツル
サーフィンするには
一番好ましい海面状況。
面とは海面/波のフェイスのことを
言う時が多いですが、
風がない無風の状況だったり
弱いオフショアが吹いているときには
「面ツル」
なコンディションが現れる
確率が高いです。
波の面がガラスのように
なっていることから
「グラッシー」
と言うことも多いです。
~
ただ、ビーチにて無風やオフショアのときでも
面ツルにならない時も多く、
沖合で風が強く吹いていたり
潮の動きによっては、
「面がザワつく」
状況になることも多いです。
個人的に一番いい状態は、
面ツルの中でも・・・
海面に油を垂らしたかのような(オイリーな)
少し滑らかなフェイスの面ツルが最高です。
このコンディションに出会う
確率を高くするためにも、
天気図から波を予想できるように
なりたいですね。
~
チョッピー
波の面が乱れてきたときのことを
「面がザワついてきた」とか言います。
少し風が出てきたときや、
沖合や潮の影響などで
面がザワついてくるときがあります。
このザワつきが更に大きくなると
「チョッピー」という
コンディションになっていきます。
これは主にオンショアベースの
風が強まることで
波の面がかなりザワついて
波長の短い風波が至る所で
現れる状況です。
波の面はデコボコして
走れるフェイスも
短くなっていきます。
千葉のポイントは主に
東ベースの風になるとオンショアになり
「チョッピー」なコンディションに
なることが多くなります。
チョッピーよりも
少し海面の凸凹が大きいときには
「バンピー」とか言う場合もありますが、
私はあまり使わない用語です。
~
ジャンク
チョッピーが更に進むと
「ジャンク」になります。
チョッピーなコンディションでは、
面は良くないけどまだサーフィンは
可能なコンディションですが、
ジャンクになるとサーフィンは
ほぼ出来ない状況となります。
台風や低気圧が接近しているときなど、
風が強くて波の面は
グチャグチャな状況となり、
乗れる波はほぼない状況です。
こんなコンディションでは
サーフィンどころではありませんし
海は危険な状況なので
近づかない方がよいです。
~
サーフィンの用語では
日本だけしか使われない言葉が多くあり
この「ジャンク」という言葉も
おそらく日本でしか使わない表現かと思います
海外では「messy」ということのほうが
多いはずです
ジャンクというとガラクタみたいな感じ
の表現になるので、海に対して使う表現としては
あまり適切ではないですよね・・・
~
クローズアウト
これは風の吹き方だけではない
コンディションですが、
波が大きすぎたり波数が多くて
沖に出られないようなコンディションや、
風が強すぎてまともにサーフィン
できないようなときに、
「クローズアウト」となります。
台風からの強いうねりが入ると、
海底が砂のビーチブレイクの
ポイントでは
頭オーバーくらいの大きさになり、
沖にでるのが不可能となって
クローズアウトとなったり、
また台風が接近しているときなど
風が強すぎて危険な状態でも
クローズアウトとなります。
当然ですが、
こんなクローズアウトのコンディションのときには
海に近づくことも避けたほうがよいです。
~
波のブレイク/崩れ方による波の種類
厚い波
波の斜面がなだらかな波のこと。
うねりが沖から自分に迫ってきたときに、
波が崩れる海面があまり切り立たずに
斜面の角度が急斜面にならない波。
サーファーはこの斜面を滑るので、
あまりこの斜面が切り立たないと
波に乗ろうとしても
波に置いていかれてしまいます。
ロングボードなら
波の斜面がなだらかな状態でも
波に乗ってテイクオフが出来ますが、
ショートボードでは
波の面が切り立って
斜面がちゃんと出来ないと
テイクオフできないです。
逆に波の斜面が急に切り立つことを
「ホレる」といいます。
主に波が出会う海底の深さによって、
厚い波になったり
ホレる波になったりします。
波の面を走り過ぎてしまうと、
波の厚い部分になり斜面がなくなってしまうので、
「カットバック」して
波の切り立つ場所に戻って
斜面を降り再度スピードをつけていきます。
~
ホレる波
厚い波の反対語として使われます。
海面が急に切り立って
急角度の斜面ができる波のことを
「ホレる波」といいます。
斜面が急角度なので
ホレた波はスピードがつきます。
厚い波はどちらかというと
ロング向きの波ですが、
ホレる波はショートボード
向きの波です。
うねりが急に海底の浅い部分にきたときなど
海面が急に切り立つ状況となります。
テイクオフの動作を早くしないと
波に巻き上げられてパーリング
することが多くなり、
海底が浅い岩があるところなどでは
非常に危険な場合もあるので
注意が必要です。
~
ワイドな波
波が崩れる範囲が広い波のこと。
サーフィンに適した波とは、
波の崩れるピークから
右と左へ徐々に崩れていく波ですが、
「ワイドな波」とは
幅広い範囲で一気に崩れてしまう
波のことです。
このように一気に崩れてしまうと、
サーファーはテイクオフしたとしても
走れる波のフェイスがないため
横にいけないため、
サーフィンには適さない波となります。
これと同義的な言葉としては、
「つながってしまう波」とか
「ダンパーの波」として
言う場合もあります。
~
速い波
波の崩れるピークから
左右どちらか、もしくは両方に
徐々に崩れていく波の中でも、
その左右方向に崩れる
速さが速い波のこと。
あまりに速すぎると「ワイドな波」や
「つながった波」になってしまいますが、
適度に速い波は上級者にとっては
楽しめる波となります。
テイクオフが遅くなると
すぐに進行方向の波が崩れてしまうので
難しい波となります。
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切れた波
波の崩れるピークから
左右どちらかもしくは両方に
徐々に崩れていく波で、
ピークがはっきりしている波。
サーフィンには適した波で、
この切れた波をサーファーは
追いかけていることになります。
ピークからテイクオフできれば、
進行方向には波の崩れてない面が見えて
その波のフェイスをサーファーは
走っていきます。
~
パワーのある波/ない波
うねりや波の力がある波のこと。
波の崩れるパワーが強い波で
台風からのうねりのときなどは
このパワーのある波を感じることができます。
言葉では何と表現したらいいのか
微妙なところですが、
とにかく波がブレイクするときの
パワーが大きい波のこと。
波が小さくてもパワーのある波もあれば、
波が大きくてもパワーのない波もあります。
パワーのない波とは「トロい波」とか
「タルい波」とかいうときもありますが、
波に力がない状態のときに使うことが多いです。
潮が上げているときよりも
潮が引いているときのほうが、
パワーのない波で
ペラペラな薄い波になるときが
多いと思います。
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三角波/Aフレームの波
ピークが三角形の頂点や
“A”の先っちょのようになっていて、
左右に順々に崩れていく波のこと。
崩れ方も一気に崩れるのではなく、
適度な速さで崩れていくのが理想的。
こんな波が現れたら
パーフェクトなブレイクとなります。
海底が砂のビーチブレイクでは
なかなかお目にかかれるときが少なく、
海底が岩のリーフブレイクや
河口の波などでは
波の崩れる場所が決まってくるため、
うねりの向きなどの条件さえ整えば
お目にかかれるチャンスもあります。
~
チューブ/バレル
サーフィンといえば
チューブライディングを想像する方が
多いくらい、
チューブの波のほうが
一般的ではないかと思います。
ハワイのパイプラインに代表されるような、
波がホレて波が崩れるところに
人が入れる空間ができる波のことを
チューブといいます。
この波の中の空洞をライディングすることを、
多くのサーファーは夢見ており、
サーフィンの魅力や醍醐味となっています。
ただしこんなチューブになるようなときは、
波が大きくなければなりませんし、
波がホレてチューブになるということは
海底が浅いということにもなるので、
非常に危険なコンディション
でもあると言えます。
またかなり「ホレる波」であり
かつ「速い波」であることから、
「ダンパー」とは紙一重の
コンディションとなることから、
非常に高度な
サーフィンの技量が必要となります。
~
いろいろな要素により
波の種類やコンディションが変化します。
ここに記載したような波のコンディションが、
どういう条件のときにどんなコンディションに
なりやすいのか、
また波のブレイク/崩れ方の種類には
どんな特徴があるのかを知っておくと、
日々変化する気象条件や潮回りなどにより、
どのポイントがどんな波になっているのかが
次第に想像できるようになってくると思います。
今回は風の吹き方と波の崩れ方
による種類について記載しました。
次回は
「海底の地形による波の特徴」
について記載してみようと思います。
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