【高気圧からの吹き出し】気圧配置と天気図パターンによる波のコンディション

週末サーファーがいい波に乗るために

週末サーファーがサーフィンできる時間は非常に限られていますが、その限られた時間の中で ”いい波” をあてるために知っておきたい気象や海に関する知識と経験則についての記事です。

・風の向き・強さ・持続時間によるうねりの向きと強さ

・太陽と月と地球の位置関係から変化する潮まわりと毎日の干潮・満潮の時間による潮の動き

・ポイント毎の向きと地形・周辺ロケーションの環境などによる波のコンディション

その他、台風の記録や安全にサーフィンを楽しむための情報を記事にしています。

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高気圧からの吹き出し
サーファーは海に行く前に必ず波の状況がどうなのかを確認します
今のこの時代は波情報やSNSが発達していて、海にいかなくても波のコンディションやブレイクの様子が写真や動画で見れるようになりましたが、波予想の基本は天気図を見ることだと思います。
今回から数回にわけて、以前に記載した 気圧配置と波のパターンについて、パターン毎に詳細を記載していこうと思います。
まずは、私の記事にもよく出てくる言葉である、「高気圧からの吹き出し」についてです。

低気圧だけでなく高気圧にも注目

SPAS 2019年5月19日 21時
サーフィンの波について天気図を見て語るとき、まず話題に出てくるのは台風や低気圧が多いと思います。
たしかにサーファーは台風からのうねりが入るときはみんなワクワクします。
波長の長いしっかりとしたうねりが入って、普段はサーフィンできないようなポイントでオーバーヘッドのいい波がブレイクするようなシチュエーションは、台風が接近している気圧配置のときがほとんど。
また台風ほど爆発力はないものの低気圧が南海上を東進することで低気圧の南側で発達する南うねりが入ることから、低気圧が通過するときも波の期待度が増してきます。
そんな感じで天気図の主役は台風や低気圧になることが多いのですが、週末サーファーが良い波をあてるには、“高気圧” の存在をぜひ意識しておきたいところです。

波をつくる風についてのおさらい

以前にこちらの記事にて、波がどうして出来るのか波はどんなときに大きくなるのか について記載しました。
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もう一度おさらいしておきますと、
  • 風が強く吹くほど、波は大きくなる
  • 風が吹いている距離が長いほど、波は大きくなる(吹走距離)
  • 風が吹いている時間が長いほど、波は大きくなる(吹続時間)
つまり、風が強くて、長い時間・長い距離を吹くと、波は大きくなるということです。
あとはこのような条件下にて大きくなった波がどの方向からくる波なのかと、それを待ち受けるビーチが地形的にどの方向を向いているのかによって、ポイント毎の波のコンディションは様々なものになります。

高気圧からの吹き出しとは

こちらも以前の記事にて、高気圧と低気圧の風向きと特徴などについて記載しました。
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こちらもおさらいしておくと、
  • 風は気圧の高いところ(高気圧)から低いところ(低気圧)に向けて吹く
  • 高気圧は中心から外向きに時計回りに風が吹く
  • 海上で吹く風は等圧線に平行には吹かず、約20度くらい外向きに曲げられて吹く
“高気圧の吹き出し” として表現しているのは、高気圧は中心から外にむけて時計回りに風が吹き出しているため“吹き出し” という表現がぴったりなのではないかと思います。
また高気圧の縁辺を流れる風ということで、“‘高気圧の縁辺流” という表現も使いますが、私はイメージ的に “高気圧の吹き出し” という表現を好んで使っています。

高気圧の吹き出し先の海上では波が発達

冒頭に掲載した2019年5月19日の地上天気図をもう一度以下に載せます。
これは典型的な高気圧からの吹き出しにより、太平洋側がサイズアップする気圧配置です。
2019年5月19日 21時 SPAS(一部加工)
こちらの気圧配置において、高気圧の位置等圧線の向きと長さに注目。
もうこれだけ見てもらえればパッと見でわかるとおり、高気圧の風は時計回りに中心から外に向けて海上では約20度外に向けられて吹くので、
この東海上にある高気圧の中心からは赤の矢印のような風が海上で吹きます
この風が、先ほど記載したとおり波が大きくなる条件を満たしているのかどうかといいますと、、
  • 風が強いか?
    → 高気圧の中心気圧は1032hPa、日本の南海上には5本もの等圧線が並んでおり気圧傾度は大きく南東の強い風が吹いていると想定される
  • 風は長い時間吹いているか?
    → 後でこの数日の気圧配置図を載せますが、南海上で南東ベースの風が2週間程度続きました。
  • 風は長い距離吹いているか?
    → 高気圧の左下の等圧線の長さをみると、パッと見ても東京から九州の距離以上は同じ向きで風が吹いてると想定されます。

ということで、3つの条件は軽くクリアしており、南海上では強い南東の風によって南東うねりが発達した状態でした。

この南東うねりが太平洋沿岸の広い範囲に届いたため、この日は外海の各ポイントにおいては頭オーバーのややハードな波となりました。

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どんな気圧配置のときに、太平洋側ではどれくらいサイズがあるのかについては一概には表現できませんが、
この日の気圧配置のように、高気圧の中心が東海上にあって等圧線の向きが日本に向けて長く描かれている気圧配置であれば、太平洋側にはサーフィンするには十分な波があることがわかります。

  • サーフポイントと高気圧との距離
  • 同じ向きで吹き続ける風の強さと距離、および吹き続ける時間
  • 吹き出しによる風向とポイントの向き
によって、うねりの入りやすさや反応する波のサイズが異なってきます。

夏の太平洋高気圧の張り出しケース

先ほど挙げた例は2019年5月のものですが、夏から秋にかけても高気圧からの南東うねりが太平洋側に反応しやすい時期です。

以下は2018年8月14日の地上天気図(ASAS)です。
東海上にある太平洋高気圧が日本付近に張り出しを強めてきているケース。

2019年5月のケースと同じように東海上に高気圧の中心、そこから日本の南の海上にかけて等圧線が長く描かれるパターンとなっています。

2018年8月14日 ASAS 3:00

この日も千葉エリアでは胸肩サイズのいい波が入っていて、湘南にも腰腹サイズで楽しめていました。

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繰り返しになりますが、その時々の高気圧の勢力や等圧線の向きと長さによって波の反応の仕方が異なるので、
この気圧配置パターンが続いたら太平洋側にはそこそこ波がありそうだな、くらいでまずは覚えておけばいいと思います。

“高気圧の吹き出し” は安定して波がある状態を作り出す

ではなぜ、この高気圧の吹き出しに注目するのでしょうか。
自分なりの結論から書いてしまいますと、、、
「高気圧からの吹き出しにより、高気圧の縁辺を吹く強い風が長い距離を長い時間吹くことでうねりが発達し、
ひとたびこのうねりが反応すると、長い期間,安定的に,程よいうねり が反応する可能性があるから」 です。
つまり
しばらく胸肩から頭くらいの波が続くときがある
ということです。最高ですよね!
もちろん自然の気象現象なので、そんないい波が続くパターンがしょっちゅうあるわけではないんですけど、高気圧がちょうど太平洋側にうねりを届けてくれるようないい位置で停滞する気圧配置になると、1週間から長いときは2週間くらいは波が続くことがあります

太平洋側にしばらく波が続いたケース(2019年5月14日~28日)

高気圧からの吹き出しにより太平洋側の東向き~南向きのポイントに、波がある状態が約2週間弱続いた例が2019年の5月にありました。
冒頭に掲載した2019年5月19日もこの一連の南東うねりが続いた期間のど真ん中の天気図です。
この南東うねりが続いた期間の天気図は以下の流れとなります。
(気象庁HP:過去の天気図:https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/wxchart/quickmonthly.html から当該期間の天気図のみ引用)
期間のはじめは、樺太付近にあった高気圧が北から南に張り出しをはじめ、次第に高気圧の中心は東へシフトしていきます。
高気圧の左下の等圧線は次第に本州の太平洋側に向けて南東の風を送りこむ気圧配置となって、高気圧の中心はほとんど同じような位置にあります。
5月17日から20日にかけては、高気圧の等圧線の間隔も狭くなってきており、太平洋側には強い南東うねりの反応が続きました。

湘南もずっといい波が続いた!

このとき、湘南には12日間連続で腹胸サイズ以上の波があり、沿岸の風の影響も少なくいい波が毎日続きました。
twitter上でも、「もう腕が上がらない!」とか、「お腹いっぱい」とか、そんな内容のツイートもあって、普段は波のないことも多い湘南においてはサーフィンを十分満喫できた12日間でした。
千葉エリアでは、高気圧が張り出してきた当初5月13日~15日くらいまでは、高気圧との位置が近すぎたせいか南東うねりが入りにくい気圧配置でしたが、次第に高気圧が陸上から遠ざかったことにより、南東ベースのうねりが十分に反応する日が続きました。
伊良湖から御前崎の東海エリアでも胸肩サイズの波が続き、伊勢の国府の浜や市後浜でも腹胸サイズで十分遊べるコンディション。
和歌山の磯ノ浦は南東うねりが紀伊半島にブロックされてうねりは入らないのですが、
四国の生見や中村などの東向きのエリアと宮崎でも肩頭サイズの波がずっと続いた素晴らしい期間となりました。
茨城から福島および仙台でも南東うねりが反応して胸肩サイズの程よい波が続き、全国的に波があって存分にサーフィン楽しめる2週間となりました。
このように高気圧が同じ位置で留まることにより、東から南東ベースのうねりが長い期間に渡って太平洋側に反応し続けることがあり、このパターンになったら毎日サーフィンを楽しむことができます。

風の影響が少ない時間帯・ポイントへ

強い南東から東の風がネック

ただ、太平洋側はどのポイントもいい波かというとそうではなくて、風の影響を考慮することは必要です。
5月19日の気圧配置のように、本州の上に5本もの等圧線がかかっているということは、南東~東ベースの風が沿岸部や陸上でも強く吹くということを意味しており、この東ベースの強い風がネックになります。ちょうど強い冬型の気圧配置になったときの逆のケースですね。
強い南東うねりにより、外海のポイントではクローズなポイントが増えてきます。
これに加えてオンショアベースの風となりジャンクで大荒れなコンディションにもなってきます。
ただ、エリアやポイント毎や時間帯によっても風向きは異なり、その時々の風をうまくかわすことができれば、
いい波に乗れる確率も高まります

風の影響の比較的少ない朝一を狙ったり、うねりとポイントの向きから強いうねりが入りにくいポイントへ移動する、
また、オフショアとなるポイントには基本的にはうねりは入りにくいですが、強いうねりの場合は回り込んでサイズは小さめながら
風の合うポイントでサーフィンできる場合もあります。

このような点を考慮しながらポイント選択ができれば、サーフィンを楽しむ幅がグンっと広がります。

サーフィンビギナーの方は注意が必要

これまでの記載は、基本的にはそこそこサーフィンの経験と技量のある中級者以上の方向けの観点で記載しましたが、
ビギナーの方には要注意な期間となります。

風も強く波のサイズがある期間が続くので、ポイントや海の知識が少なくサーフィンの経験が少ないうちは、
この期間は十分に注意が必要です。

メジャーなポイントはサイズが大きすぎておそらく入れないでしょう。

また、入れたとしてもカレントが強かったり、ポイントによっては混雑していたりとなかなかビギナーの方の練習に適したコンディションとは言えない状況となります。

ポイント選びや海へのエントリーの仕方など、経験のある方と一緒にいくか、サーフショップのスクールに入るなどして、海とサーフィンのことを教わることが必要です。初心者だけで海に入るのは危険なポイントが多くなるので、十分注意をお願いします。


今回は、高気圧からの吹き出し をテーマに記載してみました。

天気図を毎日ながめていると、同じような気圧配置の天気図パターンがあらわれて、過去の経験などからこの気圧配置のときにはこのポイントにいい波が入る、などの経験則がついてきます。

次回も同じように気圧配置のパターンに対してどんな波のコンディションになるのかについて、
私の経験則も踏まえた記事を記載していこうと思います。

 

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