アリューシャンからの北東うねり

アリューシャンからの北東うねり~真冬の千葉に炸裂するワイドでパワフルな冬の波~

気圧配置と天気図パターンによる
波のコンディションについての
記事シリーズです。

冬になると
日本の南海上を通過した低気圧が
発達しながら北東方向に進み
東海上からカムチャッカ半島の南を
とおりアリューシャン列島付近まで
移動して
台風並みに猛発達することが
多くなってきます。
この「アリューシャン低気圧」が
作り出すパワフルなうねりが
数日かけて「北東うねり」として
千葉や茨城エリアに到達します。
今回は冬の千葉エリアに炸裂する
ワイドでパワフルな冬の波である
「アリューシャンからの北東うねり」
について解説していきます。
今回も主に千葉・茨城と湘南エリアの
観点からの記載となることだけ
ご留意ください。

アリューシャンからの北東うねりとは?

アリューシャンからの北東うねり
「北東うねり」と一言でいっても、
その地域によって反応する様々な
北東うねりが存在します。
今回解説していく「アリューシャン低気圧
からの北東うねり」もあれば
日本海で発生する
北東うねりもありますし
エリア毎に発生する要因や
反応の仕方が異なります。
本ブログは主に千葉・湘南エリア
に関する内容で構成されてますので
今回は前者の
アリューシャン低気圧からの
北東うねり

をターゲットとして
記載していきます。

西高東低の冬型の気圧配置

冬になると
「西高東低の冬型の気圧配置」
という言葉をよく聞くように
なりますよね。
この西高東低の気圧配置については、
漢字そのままですけど、
  • 西に高気圧
  • 東に低気圧
 がある気圧配置です。
2018年12月28日午前9時の天気図
引用:気象庁ホームページhttps://www.jma.go.jp/bosai/weather_map/

 

こちらは
2018年12月28日
午前9時の地上天気図です。
オホーツク海には966hPaの低気圧
更に東にはアリューシャン方面
へと向かう964hPaの低気圧があり
猛烈に発達している状況。
東のシベリア大陸には、なんと
1080hPaの中心気圧の高気圧
があります。
まさに
西に低気圧、東には高気圧がある
西高東低の冬型の気圧配置です。
日本の周辺では
100hPa以上の気圧差
発生していて
日本列島には
10本の等圧線
がかかり、
縦じまの等圧線の間隔
が狭くなって
各地で北西の季節風が
吹き荒れる気圧配置です。
この日の記事はこちら
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西高東低の気圧配置になるパターン

西高東低の気圧配置
引用:気象庁ホームページhttps://www.jma.go.jp/bosai/weather_map/
「西高東低の気圧配置」
といっても、いろんなタイプの
気圧配置がありますが、
一番オーソドックスな
パターンとしては、

はるべえ
日本付近を低気圧が
発達しながら通過し
東海上を北東方向に進む
ターンです。
低気圧は日本の東海上を
急速に発達しながら
アリューシャン列島付近まで
北東へと進みます。
そしてアリューシャン付近に
達する頃には、
台風並みに中心気圧を低下させ、
非常に狭い間隔の等圧線で
低気圧が形成されていきます。
一方で西の方を見てみると、
シベリアにある高気圧が発達し、
中心気圧が非常に高い高気圧
が形成されていきます。
日本付近は、
ちょうどアリューシャン低気圧と
シベリアの高気圧の間に位置し、
日本列島には
縦縞の等圧線が狭い間隔で
並ぶ気圧配置に。
これがベーシックで
教科書的な冬型となる
パターンの気圧配置です。

アリューシャンの低気圧とは?

先ほどから何度も記載している
”アリューシャン”
という言葉ですが
天気予報では
冬になると良く耳にする
言葉ではありますけど、
あんまりピンっと来ない方も
多いですよね。
アリューシャンと記載しているのは
アリューシャン列島付近のことです。
地図では以下の青で囲んだあたり。
アリューシャン列島
アリューシャン列島付近 引用元:GoogleMapに一部筆者加工 https://goo.gl/maps/JjSp7tcBXAG1FRey7
アラスカからロシアの
カムチャツカ半島まで、
約2,000㎞にも及ぶ列島
があるんですね。
なんでこのアリューシャン
という言葉が多用されているか
といいますと、、、
はるべえ
冬になると
このアリューシャン列島付近に
低気圧が集まって
猛烈に発達することが多くなる
からなんです。
では、なんで冬になると
このアリューシャン付近で
低気圧が猛烈に発達するのか?
まずこれを説明するには、
”西高東低”の西にある高気圧の
説明からしないといけません。

シベリアの高気圧が発達する

まず、そもそもですけど、
冬になると夜が長くなります
北半球では、
緯度が高ければ高いほど、
太陽の光に当たる時間が
短くなりますよね。
冬の朝のよく晴れた日は
かなり冷え込むことが
あると思いますが、
これは放射冷却」
影響によるものです。
太陽の光があたらない時間には
地面からは熱がどんどん外に
放射されていきます。
雲があるときは
熱が雲でブロックされて
逃げにくいんですけど、
よく晴れて雲がない日は
どんどん宇宙に向けて
熱が放射されていって
しまうんですね。
シベリア地方の広い陸地では
「放射冷却」がかなり効くんです。
まわりに海がない
これだけ広い陸地ですから、
どんどん熱が逃げていきます。

そしてこの放射冷却によって、
地面に接している空気は
かなり冷やされます。

空気は冷たいほど
重くなるので、、、

冷たい空気のかたまりが
下降気流となり
シベリアの陸地には
高気圧がつくられます。

これがシベリア高気圧です。

アリューシャンに低気圧が発生

このシベリア高気圧は
冬になるとかなり発達します。

日本付近の高気圧の中心は、
だいたい冬季でも1012~1020hPa
くらいの勢力になることが
多いのですが、

シベリア高気圧は先ほど掲載した
2018年12月のときのように
強いときには1080hPaまで
発達することがあります。

これはシベリア地域に
大きな気圧の山ができると
考えるとよいでしょう。

そしてこのシベリア高気圧が
発達すると、、、

そのシベリアよりも
東に位置する

ちょうどアリューシャン列島あたりが
相対的に気圧が低くなるんです

はるべえ
気圧は高いところばかり
あるわけではなく
地球全体で平準化されます。
地球は常に
そのバランスをとる
動きをしており、
あるところで気圧が高くなったら、
その分を他のところで
気圧が低くなるような
動きを見せます。
バランスをとる場所として、
アリューシャン列島付近が
相対的に気圧が低くなる
という訳なんです。
つまり、
シベリアに気圧の山があり、
アリューシャンに気圧の底
があるイメージ
普通は気圧の尾根と気圧の谷
といいますけど、
”山”と”底”という表現で
記載してみました。

低気圧がアリューシャンに吸い込まれる

日本付近は低気圧や高気圧が
交互にいれかわり通過
していきます。
冬に日本付近を通過した低気圧は、
このアリューシャンの気圧の底に
吸い込まれていきます。
”押し流される”というより
”吸い込まれる”
という表現のほうが
イメージしやすいかと。

シベリア高気圧からの
冷たく乾燥した空気と、
低気圧の南からの
暖かく湿った空気が、

日本の東海上から
アリューシャン列島あたりで
激しくぶつかり合い、

このエリアで
低気圧は発達しやすい環境
となっていくのです。

アリューシャンから届くワイドでパワフルな冬の波

ここまでは西高東低の気圧配置から
アリューシャン低気圧の発生する過程
までを解説してきましたが

ここからは
アリューシャンから届く
北東うねりの特徴について
見ていきましょう

一旦反応するとしばらくうねりが続く

アリューシャンからの
北東うねりは、
うねりの反応が始まると
しばらく続くことがあります
アリューシャン低気圧が
同じような位置にあったときは、
その間はずっと
北東からのうねりが
反応を続けるためです。

まず波がどのように発達するのかを
こちらの記事でおさらい
しておきましょう

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波をつくるための風

波は風の強に加えて、
風が吹いている時間
風が吹いている距離によって
波の発達度合いが変わってきます。

この内容を少し頭の中に
入れた状態で、
実際に北東うねりが反応してきた
気圧配置を見ていきたいと思います。

北東うねりが反応したケース

この記事を書いている
2020年の冬は
例年以上の暖冬となりましたが、、、
それでも何度か
アリューシャンからの
北東うねりが反応しました。
そんな2020年の冬に
北東うねりが続いたパターンを
いくつか見ていきたいと思います。

北東うねりが約1週間反応したケース

2020年1月16日から22日まで
約1週間も北東うねりの反応が
続きました。
まずはこの時の気圧配置の推移
から見ていきましょう
このケースの期間は、
低気圧が次々に日本付近を通過しては
アリューシャン列島方向へと
吸い込まれていく流れとなりましたが、
その期間の中でも
強い北東うねりを送り出した低気圧が
日本付近を通過したのが1月18日でした。
2020年1月18日午前3時の気圧配置
引用:気象庁ホームページ
https://www.jma.go.jp/bosai/weather_map/
南海上を発達しながら低気圧が
通過している最中の天気図です。
この低気圧の中心は
千葉よりもだいぶ南を通過したことから、
低気圧の北側では既に
東~北東の強い風とうねりを
もたらしていた状況でした。
九十九里から一宮周辺の
東向きポイントでは
ジャンクなクローズアウトの
コンディション。
強い北風をとうねりをかわす
片貝周辺だけなんとか出来そうな
状況でしたが、
風が強すぎて上級者向けの
アタマサイズの波。
千葉南は
鴨川マルキが無難なポイント、
セットでは頭サイズの波が
入ってきて十分サーフィン可能な
コンディション
こちらはその日の気圧配置と風と波です。
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翌日1月19日午前3時の気圧配置です。
2020年1月19日午前3時の気圧配置
引用:気象庁ホームページ
https://www.jma.go.jp/bosai/weather_map/
低気圧は反時計回りに風が吹いており
この低気圧の北側には
日本列島に向けて強い北東の風が
吹くエリアがあって、
ここで作られた北東うねりが
千葉以北の太平洋沿岸に
入ってきました。
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そして翌日20日の「大寒」の日も
しっかりと北東うねりの反応は続きます。
2020年1月20日午前3時の気圧配置
北東うねりが
反応してくるかどうかは、
  • 東海上の発達した低気圧の
    等圧線の向きと低気圧の形
  • 低気圧と日本の間に
    うねりを遮る・抑える事象が
    あるのかないのか
によって反応の度合いが
変わってきます。
この時の低気圧の北側に
描かれる等圧線を見ると、
強い北東の風が
長い距離に渡って吹いている
のがわかります。
そして
日本列島とこの低気圧の間には、
北東からのうねりを抑えるような
風(北西~南西ベースの風)が
強く吹くエリアがありません。
よって、
低気圧からの北東うねりは
強いうねりのまま千葉エリアに
ヒットすることになりました。
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そして次の日の21日も
北東うねりはしっかりと続きます。
2020年1月21日午前3時の気圧配置
千葉エリアでは
この日もハードなコンディションの
ポイントが多い状況からのスタート、
千葉南エリアは
すこし落ち着いてきながらも
十分なサイズの波が入って
きていました。
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そして、うねりがやっと
落ち着いてきたのが1月22日でした。
2020年1月22日午前3時の気圧配置
先行してアリューシャン方面へと
移動した低気圧からの
北東うねりは
だいぶ落ち着いてきた
のがこの22日です。
その後に続いている
東海上の低気圧は、
低気圧の形と等圧線の向きが、
日本に向けてうねりを届けては
くれるなそうな流れになっている
のが見て取れますね。
等圧線の流れから北北西のうねりが
発達しているような感じなので
これでは日本の沿岸部には
うねりは届きません。
22日の記事をみても、
この後に続いた低気圧からの
うねりの反応はほとんど
見られませんでした。
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強い北東うねりが反応したケース

こちらは2020年2月1日から
立春の4日にかけて反応した
ケースです。

まず2月1日の気圧配置から見ていきますと、

2020年2月1日午前3時の気圧配置

東海上にある低気圧の北西側では
北東の風が1,000㎞以上にも
渡り吹いているエリアがあります。

カムチャッカ半島の南から
千島近海あたりまで
等圧線が斜めに描かれているところで
強い北東うねりが作られました。

そして日本列島までの間に
この北東うねりを大きく遮る
ようなものはありません。

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そして次の2月2日の気圧配置。
この日の記事のサム日ネイルを掲載します。

翌2日にかけても
低気圧の北西側では
北東の風が強く、
長い距離を吹く気圧配置となり、

北東の風が吹いている時間も
長くなってきており、
北東うねりが十分に発達しました。

この日の記事はこちら

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更に2月3日の節分の日の
午前3時の気圧配置です。

2020年2月3日午前3時の気圧配置
別の低気圧が
日本海から東海上へと
これから抜けていく
気圧配置となっていきますが、
アリューシャンの低気圧から
届いた北東うねりは
このあと立春の日も
しっかりと反応が続きました。
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北東うねりの反応がイマイチなパターン

アリューシャンで低気圧が発達しても
必ずしも日本へ北東うねりが
入るとは限りません。
そんな、
北東うねりが入らない
or 反応がイマイチなパターン
を知っておくのも、
いい波をあてるには
必要な知識だと思います。

北東うねりの反応がイマイチなパターン➀

こちらは2020年2月7日の例です。
2020年2月7日午前3時の気圧配置
こちらの気圧配置も
アリューシャン列島付近にある
低気圧がかなり発達している
状況ですが、
はるべえ
千葉エリアには
北東からのうねりはほとんど
反応しませんでした。
このときの
  • 低気圧の形
  • 等圧線の向き
を見てもらえれば、
うねりが反応したときとの
違いがわかるかと思います。
低気圧の北西側では
北東うねりが強く吹いていますが
北東の風が吹くエリアは小さく、
また低気圧の西側では
等圧線が北西から南東へと
伸びる形となっていて、
低気圧の西側で発達する波は
北西の方向に作られます。
要は日本列島に向けた波が
発達するような風が吹いてない
ということですね
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北東うねりの反応がイマイチなパターン②

2020年3月18日の気圧配置です。
このときも北東うねりの反応は
イマイチでした。

2020年3月18日午前3時の気圧配置

カムチャッカ半島から
アリューシャン方面へと
発達した低気圧が
進んでいますが、

日本の南海上には
勢力のやや強い高気圧があり、

この高気圧から
三陸沖にある低気圧にむけて
南西から西の強い風が吹いています。

アリューシャンへと進む低気圧は
台風のような円形の等圧線をしており、

いい感じで北東うねりが
入ってきそうな感じでしたが…、

日本付近にある低気圧や
南の高気圧によって
北東うねりとは逆方向からの
風が強く吹いたこともあり

北東うねりは弱まる傾向となって、
反応としてはイマイチでした。

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このように、
同じアリューシャン低気圧でも
等圧線の向きや
日本列島との間にある
事象によっては、
うねりの反応が鈍い
もしくは反応しない
パターンもある
ので、
その時々の発達具合と
等圧線の形をよく見ておく
必要があります。
また、ここで取り上げたのは
あくまで参考のパターンを
簡単に説明しているだけであり、
実際はそんな単純なものではない
ということは理解してますが、
普段海に行く前に
天気図をざっとみて、
北東うねりが反応しそうか
反応イマイチになりそうか
くらいがざっくりわかれば
いいのかなと思います

千葉・湘南エリアのコンディション

ひとたび北東うねりが
反応をはじめると
日間続くことがよくあります。
強い北東からのうねりが
反応してきたときには、
千葉と湘南は
どんなコンディションに
なるのかを見ていきます。

千葉エリア

千葉北エリア
強い北東うねりが反応しはじめた
ときには、

普段からうねりに敏感な
九十九里から一宮周辺のポイントは
ほとんどクローズアウトに
なってしまいます。

特に、
一宮周辺は北東からのうねりが
ダイレクトに入ってくる
エリアなので、

ワイドでパワフルなうねりが反応し、
サイズがデカすぎのクローズアウト
となってしまうことが多いです。

九十九里エリアも
多くのポイントでクローズアウトとなり、

いつも北東の風やうねりが強いときに
頼りになる片貝周辺

このときばかりはクローズアウト
となることが多いです。

こんな時は
北東からのうねりが入りにくい
南向きのポイントへ向かう
のがセオリー
です。

飯岡や御宿は
南に開いたポイントなので、
北東うねりはダイレクトには
入ってこず、回り込んで
反応してきます。

片貝や一宮がクローズアウトのときは、
飯岡や御宿では腹胸〜肩くらいの
ほどよいサイズで反応することが
よくあり、

気圧配置としては
北風が吹くケースが多いので、

飯岡や御宿はオフショアとなるので
コンディションが整ってきます。

また、北東うねりが少し落ち着いてきて、
一宮や片貝はまだ頭オーバーで
ハードな波だけど、

飯岡や御宿は腰腹くらいで
ちょっと物足りなくなってきた
というときには、

飯岡と御宿から
それぞれ少し南に下った、
椎名内や部原などを
チェックすると良いときが
あります。

飯岡や御宿よりも
ワンサイズは大きいときが多く、

北風を軽減するポイントなので
サイズを調整するときには
覚えておいたほうがよい
行動パターンでしょう。

強い北東うねりが入ってきたときには、
勝浦のリーフのクラシカルな
ポイントでもブレイクしてくる
時があります。

自然のことなので、
その時々の微妙なうねりの向きや
周辺の気象状況にもよって

反応するときもあれば
反応が鈍いときもありますが、

上級者やエキスパートな方は
チェックしてみる価値はあると思います。

千葉南エリア
北東うねりが反応しはじめると、
千倉や千歳はダイレクトに
うねりが入りクローズアウトに。

和田から白渚は
北風は軽減しますけど、
アベレージサーファーには
ハードな波となることが多く、

エントリーを躊躇ってしまう波
となることが多いです。

強い北東うねりが入ってきたときには
鴨川マルキポイントが
真価を発揮してきます

左側の岩場からの
サイズのあるレフトの波が
きれいにブレイクすることがあり、
マルキ本来のブレイクを見せ始めます。

ただこんなときは
上級者やローカルの方々が
ピークに集まってくるので、

ビジターでアベレージサーファーの方は
ピークでは乗れるような波は
回ってこないことが多く、
ピークは外したほうが良いでしょう。

湘南エリア

湘南エリアは
房総半島により北東うねりは
ブロックされてしまう
ので、
反応が鈍いケースが多いです。

千葉では北東うねりで
十分なサイズがあるけど、
湘南では反応しないことがほとんど。

特に、鎌倉エリアなど
湘南でも東に位置するエリアでは
地形的に反応がしにくいエリア
となります。

ただし、千葉の一宮周辺など
クローズアウトしてくるくらいの
強い北東うねりが入ったときは、

東うねりに敏感な吉浜では
胸肩~頭くらいまでサイズアップ
してくるときがあります。

地理的には
平塚や大磯などの
西湘エリアのポイントのほうが
東うねりは反応しやすく、

茅ケ崎~鵠沼までのエリアより
ワンサイズ大きいときが多いです。

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ハワイ ノースショアへの北西うねり

引用して一部加工:Surfline
https://www.surfline.com/

世界中のサーファーが注目するアリューシャン

このアリューシャン列島付近で
猛烈に発達する低気圧ですが、
気にしているのは
日本のサーファーだけではありません。
世界中のサーファーが
このアリューシャンで発達する
低気圧がつくり出す波に注目します。
これはご存知の方も多いと思いますが、
このアリューシャン低気圧からの
北西うねりがハワイ ノースショア
に届く
からなんです。

毎年冬のシーズンになると、
アリューシャンで低気圧が頻繁に発達し、

この低気圧が作り出す
パワフルなうねりが

数千キロ離れた
ワイのノースショアに
大きなうねりとして届きます。

特に、毎年12月にノースショアを舞台に
行われる「トリプルクラウン」の時期には、

どのタイミングで、
どれくらいの強さのうねりが
入ってくるのかを

世界中から集まった
トップサーファーがチェックします。

日本付近の気圧配置で、
低気圧が日本付近を通過するころから
多くのサーファーが気になりだし、

日本の東海上でどのように
発達していくのか、

その低気圧の強さと等圧線の向き、
低気圧はどれくらいの期間
同じような位置にありそうなのか?

そして、
低気圧がアリューシャン付近で
猛烈に発達をしたその数日後には、

はるべえ
ノースショアには
北西からのパワフルな
冬のうねりが届きま

トリプルクラウンの最終戦となる
パイプ・マスターズでは、

この北西うねりが入ってくる
タイミングで開催されるように
大会運営されることから、

世界のトップサーファーの目が
アリューシャンの低気圧に集まります。

アリューシャンから巨大な北西うねり

こちらは2019年12月12日
ハワイのJawsで行われた

cbdMD Jaws Big Wave
Championships

のFinalヒートの動画です
WSLサイトより引用してます)

ビリー・ケンパーが優勝したことで
記憶に新しいかと思いますが、

このときのファイナルでは
50フィートの波がブレイク
していました。

Billy Kemper Wins
cbdMD Jaws Big Wave
Championships

The surfer from Maui continues
his winning streak at Pe’ahi
after a commanding performance
in 50-foot surf.

World Surf League

The surfer from Maui continues his winning streak at Pe'ahi …

この50フィートの波を
作りだしたのが、

はるべえ
アリューシャンで発達した低気圧
による巨大な北西うねり
です

2019年12月1日~2日にかけて
北日本を通過した低気圧が
オホーツク海で猛発達。

そのまま北東方向へと進み、
12月5日~7日にかけて
カムチャッカ半島から
アリューシャン付近へと
更に発達しながら進んでいきます。

その数日間の記事はこちら

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12月7日のアリューシャン付近
にある低気圧の中心は968hPa。

この低気圧の形を見てもらえれば
わかるかと思いますが、

低気圧の南側では
ハワイに向けて北西の風が強く吹く
エリアが広大に存在している
のがわかります。

2019年12月6日午前3時 地上天気図
2019年12月7日午前3時 地上天気図

このアリューシャン低気圧の
南側で発達した巨大な北西うねりが、

約4,000km程離れた
ハワイノースショアに
5日~1週間かけて届く

とになります。

アリューシャン低気圧の
南側の青い矢印で記載した付近では、

ハワイ方向へ向けての
北西風が強く吹いている海域です。

このエリアでは
おおよそ風速30m/sくらいの風が
500㎞以上の距離にわたって

少なくとも
24時間以上は吹き続けている
ことから

距離によるうねりの減衰はあるものの
4,000kmほど離れたハワイにも
周期の長い大きな波が押し寄せることに
なりました。

アリューシャンで作られた波は
約100時間後周期は20秒の長い波長の波
となって届いたのではないかと思われます。

日本の台風からのうねりが反応したときは、
長い波長の波だったとしても
周期は14-15秒くらい。

これに比べると周期20秒の波というのは
とてつもなく波長が長く

とんでもない水量の波が
割れることが想像できます

まとめ

冬に日本付近を通過した
低気圧がアリューシャン付近で
つくりだす波は
千葉や茨城エリアには
北東うねりとして
冬のパワフルな波として届き、
ハワイのノースショアには
世界のトップサーファーが
待ちわびる波を届けます。
こんな観点で天気図を見てみると、
冬に日本付近を通過した低気圧
動向が気になってきますよね。
今回はどんな感じで発達するのか?
千葉エリアにどんな波として反応するのか?
また、
ハワイにはどれくらいの
大きさで届くのか、、、などなど。
冬の時期に
低気圧が接近して天気が崩れたあとは、
はるべえ
そんな低気圧の動向を
チェックしてみては
いかがでしょうか?
だいぶ.長い記事になりましたが
最後まで読んでいただき
ありがとうございました。
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アリューシャンからの北東うねり
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