週末は波があるのか?ないのか?

あなたが週末サーファーなら、週末が近づく木曜くらいになると、、、
この土日は波があるのかないのか?、風向きはどうなのか? が気になってくる頃だと思います。
これに加えてもう少し具体的に考えてみると、、、
- 風が強いのか弱いのか
- 潮回りは何か
- 干潮と満潮の時間は
- 地形は決まっているのか
- どのポイントに行くべきか
などなど、事前にいろいろチェックしておきたいところです。
ここで一番最初に記載した「波があるのかないのか」についてが、
そこで重要になってくるのが、「うねりの向き」です。
今回はサーフィンをする上では必ず知っておきたい、「うねりの向き」についてあれこれ書いてみようと思います。
この記事を読んだ次の週末は、どの方向からくる波なのかがきっと気になっているはず。
こんな内容を知っておけば、サーフィンの楽しみが更に増えると思いますので、ビギナーの方やこれからサーフィンはじめてみようと思っている方は、ぜひ最後まで読んで頂ければと思います。
うねりの向きとは
サーファーや海にかかわることをやっている方以外は、ほとんど「うねりの向き」について意識したことはないと思います。
サーファーの中でも特に意識していない方もいてるかもしれませんが、いい波に乗るためにはこの「うねりの向き」が重要な要素になってきます。
「うねりの向き」とは文字通りうねりがやってくる方向です。
このブログにて毎日更新している、毎日の気圧配置と波情報 においても、いつもうねりの向きを記載しています。
このうねりの向きは、地上天気図を見ればざっくりどの方角からのうねりなのかがわかります。
高気圧と低気圧が作り出す風向きだけわかっていれば、ざっくりどんな感じかがイメージできるようになります。
北半球での高気圧/低気圧と風向きの関係
おさらいになりますが、
- 高気圧は中心から外に向けて時計回りに風が吹き出します。
- 低気圧は中心に向けて反時計回りに風が吹き込みます
上図は高気圧も低気圧も真ん丸の形をしているものですけど、特に高気圧は実際はこんな真ん丸にはなりません。ですが、風の吹くイメージとして捉えるなら、こんなイメージで覚えておくとよいかと思います。
”波をつくるための風” でも記載したとおり、この高気圧や低気圧によって、波を作る “風場” がどの方向にあるのかがわかれば、うねりの向きもざっくりわかります。
サーファーにとっての風とは[caption id="attachment_3998" align="alignnone" width="1024"] 平砂浦@千葉[/caption]こちらのブログでは毎日の気圧配置の変化によって[…]
うねりの向きとサーフポイントの関係
「うねりの向き」とは、そのままですが、
日本は島国なので、
この「うねりの向き」を知っておくことが何で重要かというと、サーフポイント毎に反応するうねりの向きが異なるからです。
サーフィンするポイントはその地形により、向いている海の方向が異
大雑把に言えば、
つまり、湘南は南から来るうねりが入りやすく、
うねりの向きでポイントを選ぶ
先ほどの湘南と千葉の地形を見てもらえれば、ポイントの向きによってうねりが入りやすいのかどうかはざっくりとイメージ
ただ、海の開いた方向のみのうねりしか入らないという訳ではなく、波や
例えば ”湘南” は鎌倉から吉浜までのエリアだとすると、北東~南~
ポイントのある場所と地形・向きにもよりますが、
例えば冬場には御前崎沖合の西風が強 く吹き続け、 鎌倉エリア中心に西うねりが反応していい波になることがしばしば あります。 - 逆に東海上の高気圧が北に偏っているときなどは北東うねりが強
まるときがよくありますが、湯河原の吉浜には北東うねりが回り込んで反応し、湘南エリアでも吉浜だけ波があるということがよくあります。 - 千葉のサーフポイントの中でも北うねりに反応するポイント、南うねりに反応するポイントなど、うねりの向きによって反応しやすいポイントがそれぞれ異なってきます。
このように、ポイント毎に波・うねりが入りやすい方角というのがあることは、ここまででなんとなくイメージがついたのではないでしょうか?
このうねりの向きがわかっていれば、
どのポイントに波があって、どのポイントには波はなさそうなのかが予想できるようになり、
ポイントによってはうねりの向きでどんな波が割れてそうなのかを想定することができるようになります。
地上天気図からうねりの向きを見つける
うねりの向きについてちゃんと知るには、地上天気図をシリーズで見る必要があります。
ここでは例として、スナップショットのある時点の気圧配置を例にとって見ていきたいと思います。
以下は、2018年11月6日~8日の地上天気図です。
東海上にある高気圧からの吹き出しによる東うねりが反応する気圧配置の例です。


低気圧と高気圧の性質さえ知っていればすぐにわかるかと思いますが、
この期間の波の源は、太平洋高気圧の南側で吹く東ベースの風による「東うねり」です。
この週は東海上に高気圧の中心がある日が数日続き、千葉エリアでは東うねりが1週間程度続きました。
11月4日あたりから東の海上に高気圧が居座りはじめ、6日から8日にかけても同じような位置に高気圧があるのがわかります。
太平洋側は高気圧の位置で東うねりの反応がざっくりわかる
高気圧は中心から外向きに時計回りに風が吹いています。
気圧の高いところから低いところへ風は吹くので、最初は等圧線に直角に吹くのですが、コリオリの力により北半球では風は右向きに曲げられることにより、地上や海上の摩擦の影響がない上空では等圧線とほぼ平行に風は吹きます。
等圧線が曲がっており低い高度で吹く風は、遠心力と地上や海上による摩擦の影響を受けることにより等圧線に平行には吹かず、海上では約20度くらい外向きに曲げられて風は吹きます。
高気圧の場合は、中心から外に向けて風が吹くため、この風のことを「高気圧の吹き出し」という表現でよく使います。
この期間の天気図では、太平洋高気圧の南側で1,000~1,500kmくらいの距離を東〜南東よりの風が吹き続けている海域があります。
これだけ長い距離を東風が吹いているので、波は発達してうねりとなって太平洋沿岸に届くようになります。
この高気圧が東海上にある期間の太平洋側では、東うねりに反応するポイントでは胸肩から頭サイズのグッドコンディションになった一方で、
東うねりの入らないポイントではフラットに近いコンディションになっていました。
低気圧や台風の位置からうねりの方向を見つける
高気圧と同じように、地上天気図に解析された低気圧や台風の位置からもうねりの向きがざっくりわかります。
発達した低気圧になればなるほど、うねりの向きも明瞭になってきます。
台風や低気圧は高気圧と反対で、中心に向かって風が吹き込みます。
これだけ見るとうねりの向きはイメージ的によくわからないかもしれませんが、低気圧の東側では南から南東のうねり、西側では北から北西のうねりが発生していると、おおよそ考えてもらってよいかと思います。
なぜサーファーが台風に注目するのか?[caption id="attachment_8459" align="alignleft" width="2016"] 某ポイント:台風の強い南うねりが入ったときに素晴らしい波が現れる[/capt[…]
台風による南うねりから南西うねりのケース
以下は2018年9月27日と28日の地上天気図です。
台風24号が宮古島の南東海上付近にあり北西に進んでいる気圧配置です。


この日は西日本の各ポイントには台風24号からの南うねりが反応しており、ビーチのポイントはほぼクローズアウト。
湘南や千葉のポイントには南西うねりが反応し、鎌倉でも肩から頭サイズでいい波が入ってました。
9/28 3:00 地上解析図 / 24時間天気図秋雨前線上の低気圧は発達しながら北東へ進んでいる。昨日のFSAS24では南の海上の前線が途切れる予報であったが、今朝は低気圧から秋雨前線が台風24号付近までのびている。台風24号からのう[…]
西日本エリアのポイントは台風の中心よりも経度としては東に位置しており、台風の東側で吹く南風による南うねりが反応している状況。
一方西日本よりも500㎞以上東に位置する湘南や千葉の各ポイントには、台風からの南から南西うねりが反応している状況でした。
台風による南東うねりのケース
以下は2018年8月18日と19日の地上天気図です。
台風19号が北緯25度東経140度付近付近にありほぼ停滞している気圧配置です。


台風が湘南と千葉のほぼ真南に位置しており、台風の北東側で吹く南東の風による南東うねりが反応している状況です。
千葉エリアのポイントでは肩から頭サイズの南東うねりが反応しましたが、東よりのうねりが入りにくい平砂浦ではうねりがストレートに入らずサイズは抑えられて腹胸くらいの波が反応していました。
湘南では南東うねりとなると主に西湘エリアがよく反応し、翌日20日には胸肩サイズ、鎌倉エリアは少しサイズは抑えられて腹胸くらいとなっていました。
8/20 3:00 ASAS 気圧配置と波情報台風19号は昨日よりもやや西へ中心を移し東経は137度付近に。経度では3度程西へ移動したが北緯は25度付近でほぼ変わらず。今夜にかけてもまだ西へ10kt程度とゆっくり移動、明日からはややス[…]
台風によるうねりの反応について2つのケースを記載してみました。
実際はこんな単純なものではなく、もっと複雑な反応をすることになりますが、地上天気図からざっくりこんな感じでうねりの向きを知ることができます。
今回は主に太平洋側に影響する「東海上の高気圧による吹き出し」と「南海上の台風」によるうねりの向きを記載してみました。
この他にも日本海側への影響も含めれば、うねりが反応するパターンはいろいろあり、季節毎に代表的な気圧配置とうねりの反応するパターンがあります。
このいろいろなパターンと全国の各エリアのうねりの反応する状況について、次回以降順次記載していこうと思います。
次回は「いい波に乗るために~エリア毎の特徴とうねりの向き(千葉~伊良湖)」です。
ポイント毎に異なるうねりの反応前回の記事では「うねりの向き」について記載してみましたが、今回は日本のサーフエリアの特徴や反応するうねりの向きについて記載してみようと思います。ポイントの向きによってうねりが入りやすいのかどうか[…]
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※YouTubeには今日の波チェック動画、海と空の映像や雲の流れタイムラプス映像などをアップしています。
https://www.youtube.com/channel/UChclptxfHQYAEE6LnBsJHhQ
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